U「生産計画」と聞くと、工場の話で自分には遠い気がしていました。でも「旅行の計画と同じ3段階の構造だ」と気づいたとき、一気に整理できました。今回はそこから始めてみます。
ある部品工場のリーダーが、こんな場面を振り返っていました。「作業員は残業もして、手を抜かずに動いていた。なのに納期に間に合わなかった」。原因を調べると、問題は個人の頑張りではありませんでした。そもそも計画が壊れていたのです。
どの製品を、いつ、どれだけ作るか——この「地図」がなければ、どんなに速く走っても目的地にたどり着けません。生産計画とはその地図のことです。そしてこの地図には、3つの縮尺があります。
3階層の生産計画——大日程・中日程・小日程
生産計画は、計画の期間と精度によって3つの層に分かれています。上位の計画ほど長期・大まかで、下位の計画ほど短期・詳細です。
3つの計画は独立していません。大日程で決めた方針を受けて中日程が具体化し、中日程の割り当てを受けて小日程が現場レベルで指示を出す——上から下へと展開されていく仕組みです。



「大日程が崩れると中日程・小日程も崩れる」という連鎖が、冒頭の「計画が壊れていた」問題の正体でした。上位計画が需要の急変に対応できていなかったために、現場の小日程計画が毎日のように修正され、作業員が混乱していたのです。
生産計画を支える3つの概念
生産計画を立てるうえで、試験でも押さえておきたい3つの概念があります。
能力が不足するなら残業・外注・設備増強を検討します。
ここで登場するのが、前回整理したPERT/CPMやガントチャートです。
余力 = 能力 − 負荷。余力がプラスなら余裕あり、マイナスなら過負荷状態です。
| 概念 | 問い | 判断の軸 |
|---|---|---|
| 生産能力計画 | その量は作れるか? | 機械・人・スペースの上限 |
| 日程計画 | どの順番・いつ作るか? | 納期・段取り・設備空き |
| 余力管理 | 計画通りに進んでいるか? | 能力 − 負荷のバランス |
生産形態と計画の関係——受注生産 vs 見込生産
生産計画の立て方は、受注生産か見込生産かによって大きく変わります。
| 生産形態 | 特徴 | 計画の立て方 | 主な業種 |
|---|---|---|---|
| 受注生産(MTO) | 注文が入ってから作る。在庫リスクなし。納期対応が課題。 | 受注ごとに個別に日程計画を立てる | 金型・装置産業・建設 |
| 見込生産(MTS) | 需要を予測して先に作る。在庫リスクあり。欠品防止が課題。 | 需要予測に基づいて計画を先行して立てる | 食品・日用品・家電 |
| 受注組立(ATO) | 部品・半製品は先に作り、受注後に組み立てる。両方の長所を活かす。 | 部品は見込計画、組立は受注計画 | PC・自動車(カスタム) |
診断士試験では、各生産形態の特徴と適している業種・製品の組み合わせが問われます。
過去問で確認する
- ア 大日程計画は、作業者・機械ごとの具体的な作業割り当てを決める計画である。
- イ 中日程計画は、1日〜1週間の期間を対象とした詳細な作業指示計画である。
- ウ 小日程計画は、工程別・作業者別の具体的な作業順序・時刻を決める短期計画である。
- エ 大日程計画は、週単位の資材所要量を算出して発注計画を立てる計画である。
ア:作業者・機械ごとの具体的な割り当ては小日程計画の役割。大日程は3か月〜1年の長期で「何をいつ何個作るか」の大枠を決めます。
イ:1日〜1週間は小日程の範囲。中日程は1か月〜3か月で工程別の割り当てと資材手配を行います。
エ:資材所要量の算出は中日程(MRPなど)の役割。
- ア 余力は「能力 + 負荷」で計算される。
- イ 余力がマイナスの場合、その工程は過負荷(ボトルネック)の状態にある。
- ウ 余力管理は大日程計画の段階でのみ行われる。
- エ 余力がプラスであれば、必ず納期遅延は発生しない。
ア:余力は「能力 − 負荷」。足し算ではありません。
ウ:余力管理は中日程・小日程の段階で日常的に行われます。
エ:全工程トータルで余力があっても、特定の工程がボトルネックになれば納期遅延が起きます。
まとめ——生産計画の全体像
| 計画の種類 | 期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 大日程計画 | 3か月〜1年 | 製品別・月別の生産量。設備投資・人員計画の基礎。 |
| 中日程計画 | 1〜3か月 | 工程別の割り当て・資材所要量(MRP)・外注計画。 |
| 小日程計画 | 1週〜1か月 | 作業者・機械への具体的な指示。作業順序・時刻。 |
- 大→中→小と段階的に展開される。上位計画が崩れると下位も連鎖して崩れる。
- 余力 = 能力 − 負荷。マイナス = 過負荷(ボトルネック)。
- 受注生産(MTO)・見込生産(MTS)・受注組立(ATO)で計画の立て方が変わる。
- 試験では「どの計画がどの期間か」「余力の計算式」が頻出。
関連記事: PERT・CPM(クリティカルパス) / 暗記カード / 学習スケジューラー









