賃上げ支援の助成金——業務改善助成金・キャリアアップ助成金を図解で整理 | 中小企業診断士1次試験 中小企業経営・政策

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中小企業白書を読んでいて、人手不足と賃上げのプレッシャーが中小企業の最大の経営課題になっているというデータに目が止まりました。「上げたいけど、利益が消える」——そのジレンマを和らげるために、国がいくつかの助成金を用意しています。試験でも頻出ですし、実務でも直接使える知識です。

目次

「時給を上げると赤字になる」——その悩みに国が答える仕組み

居酒屋を経営するAさんの話です。アルバイトの時給が最低賃金に近く、このままでは採用できない。でも時給を上げると月の人件費が20万円増える。利益がギリギリの中でどうすればいいか——。

こういった状況に対応するため、厚生労働省は業務改善助成金という制度を設けています。「設備投資で業務を効率化し、その分だけ賃金を上げた事業者」に、設備投資費用の一部を助成する仕組みです。

賃上げの「コスト」を助成金で一部補填する——これが賃上げ支援助成金の基本的な発想です。「賃上げをすれば助成金がもらえる」ではなく、「賃上げのために何かに投資したら、その費用の一部を補助する」という形が多い点を押さえておくと制度の理解が深まります。

業務改善助成金——生産性を上げた分だけ賃金を引き上げる

業務改善助成金は、「生産性向上のための設備投資」と「事業場内最低賃金の引き上げ」をセットで行う事業者を支援します。

01
生産性向上のための設備投資を行う
例:POSレジの導入、食洗機の購入、配送用の台車、業務ソフトウェアの導入など。「生産性向上に資する設備・機器等」が対象。
02
事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げる
引き上げ額に応じてコースが分かれる(30円・45円・60円・90円コース)。引き上げ額が大きいほど助成上限額も大きくなる。
03
設備投資費用の一部が助成される
助成率は原則9/10(一部の事業者は特例で引き上げあり)。設備投資にかかった費用を最大で9割補助。
コース(引き上げ額)助成上限額(労働者数10人未満)助成率
30円コース30万円〜60万円9/10
45円コース45万円〜110万円9/10
60円コース60万円〜130万円9/10
90円コース90万円〜200万円9/10

上限額は対象労働者数によって変わります。試験では「助成率9/10」「生産性向上と賃上げのセット」という2点が問われやすいです。

キャリアアップ助成金——非正規を正規にした事業者への支援

キャリアアップ助成金は視点が少し違います。業務改善助成金が「設備投資×賃上げ」のセットなのに対し、こちらは「非正規労働者の処遇改善・正社員化」に取り組んだ事業者を支援します。

正社員化コース
有期雇用労働者・パートを正規雇用に転換
1人あたり最大80万円(大企業40万円)
最も利用者が多い主力コース
賃金規定等改定コース
非正規労働者の基本給を3%以上増額
1人あたり最大5万円
賃金規定を就業規則等に規定することが条件

キャリアアップ助成金で試験によく出るのは「正社員化コース」の1人あたり助成額「事前にキャリアアップ計画書を作成・提出する必要がある」という手続き要件の2点です。

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業務改善助成金とキャリアアップ助成金、どちらも「賃上げ支援」という共通の目的がありますが、アプローチが違います。業務改善は「設備投資→生産性アップ→賃上げ」という順番、キャリアアップは「雇用形態の改善→処遇改善」という順番です。この方向の違いを意識すると、試験の選択肢で迷いにくくなりました。

2つの助成金の違いを整理する

項目業務改善助成金キャリアアップ助成金
主管省庁厚生労働省厚生労働省
目的生産性向上による賃上げ非正規労働者の処遇改善・正社員化
必要な行動設備投資+最低賃金の引き上げ正社員転換または基本給3%以上増額
申請先都道府県労働局・ハローワーク都道府県労働局・ハローワーク
事前提出交付申請書(設備導入前)キャリアアップ計画書(転換等の前)

過去問で確認——選択肢のどこが間違いか

中小企業診断士 1次試験|中小企業経営・政策 賃上げ支援制度の出題パターン
業務改善助成金に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げた事業者であれば、設備投資を行わなくても受給できる。
  • イ 業務改善助成金の助成率は、引き上げるコースにかかわらず一律2/3である。
  • ウ 業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資と事業場内最低賃金の引き上げを組み合わせて行う中小企業事業者を対象とした制度で、助成率は原則9/10である。
  • エ 業務改善助成金の申請はキャリアアップ計画書の提出が必要で、労働者の転換を実施した後でなければ申請できない。
解説
正解は
ア:誤り。業務改善助成金は「設備投資+賃上げ」のセットが条件。賃上げだけでは受給できない。
イ:誤り。助成率は原則9/10。2/3ではない。
ウ:正しい。「生産性向上の設備投資+事業場内最低賃金引き上げ」「助成率9/10」という2つのポイントを正確に押さえている。
エ:誤り。キャリアアップ計画書はキャリアアップ助成金の要件。業務改善助成金では不要。

まとめ——試験で確実に取れる2点

1
業務改善助成金=「設備投資+賃上げ」のセット、助成率9/10
設備投資なしで賃上げだけでは対象外。「生産性向上のための投資」が前提。
2
キャリアアップ助成金=「非正規→正規転換」に最大80万円、事前にキャリアアップ計画書が必要
「転換したあとで申請」ではなく、「転換前に計画書を提出」という手順が試験で問われる。
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最低賃金が毎年上がっているいま、この2つの助成金の存在を知っているかどうかで、中小企業経営者の行動が変わります。診断士として「こういう助成金がありますよ」と伝えられるかどうか——試験の知識が直接使える場面だと感じています。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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