組織構造の変革と権限委譲 | 中小企業診断士2次試験 事例I

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機能別組織と事業部制の違いを図で見た瞬間、過去問の設問が全部繋がりました。「なぜこの会社は組織を変えようとしているのか」「権限委譲をなぜ進めるのか」——その答えが、構造の違いを理解した瞬間にまとめて見えてくるんです。

事例Iの「組織構造」問題では、機能別組織・事業部制・マトリクス組織の違いを整理し、なぜその形態へ変革するのかを論理的に述べる能力が問われます。「権限委譲」はその変革とセットで問われることが多く、両方の型を身につけることで得点力が大幅に上がります。このページでは、出題パターンと解答骨格をまとめます。

このページでわかること
  • 機能別・事業部制・マトリクスの3形態と試験での出題場面
  • 事例Iで「組織変革」が問われる3つのパターンと解答骨格
  • 権限委譲の設問に答えるための3点セット
  • 変革への抵抗が生まれる理由と施策の対比
  • 解答に使えるキーワード15個
目次

代表的な組織構造の種類と比較

事例Iに登場する組織形態は、大きく3種類です。それぞれの特徴・メリット・デメリットと、試験でどの場面で登場するかをまとめました。

組織形態 特徴 メリット デメリット 試験での頻出場面
機能別組織 営業・製造・開発など職能ごとに部門を編成する。中小企業に多い基本形。 専門性の集中・重複コストの排除・経営トップによる一元管理がしやすい 部門間の横断連携が弱い・意思決定が上位に集中しやすい・環境変化への対応が遅れがち 「現状組織の問題点を指摘せよ」「なぜ変革が必要か」
事業部制組織 製品・地域・顧客セグメントごとに独立した事業部を置き、その中に機能を内包する。 各事業部が自律的に意思決定できる・市場変化への迅速対応・事業ごとの業績管理が明確 事業部間で資源の重複が生じる・全社最適よりも部分最適に陥りやすい・事業部間連携が弱くなる 「変革先の組織形態を提案せよ」「事業多角化に伴う組織設計」
マトリクス組織 機能別の縦軸とプロジェクト・製品別の横軸を掛け合わせ、二重の指揮命令系統を持つ。 専門性と機動性の両立・柔軟な人材配置・部門横断チームが形成しやすい 指揮命令系統が二重になるため権限の曖昧さが生じやすい・調整コストが高い・責任の所在が不明確になる 「組織横断的な課題(新製品開発・顧客対応)への対策」「変革の際の課題と対策」
試験の与件文では、「各部門が縦割りになっている」「部門間で情報共有ができていない」「社長に権限が集中しすぎている」といった表現が、機能別組織の問題点を示すシグナルです。これを読んだ瞬間に「変革の設問が来る」と予測できるようになることが大切です。

事例Iで「組織変革」が問われるパターン

組織変革に関する設問は、問い方によって3つのパターンに分類できます。それぞれに対応した解答の骨格を身につけておくと、本番での迷いが減ります。

パターン 01 — 現状組織の問題点を指摘する
設問例:「A社の組織上の問題点を述べよ」(与件文に「営業と開発が連携できていない」「社長への報告が全て集中している」との記述あり)
与件から拾う
「部門間連携の欠如」と「意思決定の集中」の2点が描かれている。機能別組織の典型的な問題点と対応させる。
解答骨格
機能別組織のため部門間の横断連携が弱く、営業と開発の情報共有が滞っている。また意思決定が社長に集中しており、環境変化への迅速な対応が困難になっている。
パターン 02 — 変革先の組織形態を提案する
設問例:「今後A社が取るべき組織形態を提案し、その理由を述べよ」(与件文に「複数の事業領域へ展開を始めている」との記述あり)
判断の根拠
与件文の「多角化の動き」が根拠。機能別では対応しきれず、事業部制への変革が論理的に導ける。
解答骨格
複数事業への展開に対応するため、事業部制組織への移行を提案する。各事業部が自律的に意思決定できる体制を整えることで、市場変化への迅速な対応と事業ごとの業績管理が可能になる。
パターン 03 — 変革の際の課題と対策を述べる
設問例:「組織変革を進める際の課題と対策を述べよ」(与件文に「長年の機能別体制で部門間の壁が厚い」との記述あり)
課題の特定
「部門間の壁」が根拠。変革に対する現場の抵抗と、新体制への移行期における混乱が課題として予測できる。
解答骨格
課題は既存部門間の抵抗と役割の再定義。対策として段階的な移行計画を立て、各部門のキーパーソンを変革推進役として巻き込むとともに、情報共有の場を設けて透明性を確保する。

3つのパターンに共通するのは、与件文の記述を根拠として先に確定し、そこから組織論の言葉を当てはめるという順番です。組織形態の知識だけを先に答えようとすると、与件文から離れた抽象的な解答になりがちなので注意してください。

権限委譲を問う設問への答え方

「権限委譲」は組織変革とセットで問われることが多く、「なぜ委譲するのか」「どこまで委譲するのか」「どう支援するのか」の3点を軸に整理すると答えやすくなります。

POINT 01
なぜ権限委譲か
社長への意思決定集中が組織の機動性を低下させているから。経営環境の変化に迅速に対応するには、現場・各事業部が自律的に判断できる体制が必要。与件文の「意思決定の遅れ」「社長への一極集中」を根拠に使う。
POINT 02
どこまで委譲するか
全権委譲ではなく、段階的・領域限定的に進めることを明示する。「日常的な営業判断は現場に委譲」「投資や採用は引き続き経営層が判断」といった形で責任範囲を明確化する。
POINT 03
どう支援するか
権限を渡すだけでなく、委譲された側が機能するための支援を書くことが重要。中間管理職の育成・OJTや研修による能力開発・情報共有システムの整備・定期的な報告・相談の場の設置。
解答で「権限委譲を進める」と書いた場合、必ず「段階的に」「責任範囲を明確にしながら」という修飾語を添えることを習慣にしてください。丸投げではなく、管理と支援を伴った委譲であることを示すことが採点ポイントになります。
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権限委譲の3点セットを覚えてから解答のまとまりが出てきた気がします。「なぜ」「どこまで」「どう支援」——この順番で書くだけで、論理の流れがぐっと整います。

組織変革に抵抗が生まれる理由と対策

組織変革の設問では、「なぜ変革がうまくいかないのか」という問いに答えることも求められます。抵抗が生まれる3つの要因と、それぞれに対する施策を整理します。

要因 01 — 不安
変革後の自分の役割・評価・立場が見えないことへの不安。「自分は不要になるのではないか」「評価基準が変わって不利になるのでは」という心理的な恐れが抵抗を生む。
対策
変革の目的・プロセス・各自の役割を早期かつ丁寧に説明する。新評価制度の内容を透明化し、変革後のキャリアパスを具体的に示す。
要因 02 — 慣性
長年の習慣・手順・人間関係がそのまま続くことへの依存。「今のやり方で問題ない」「変える必要性が感じられない」という現状維持バイアスが変革の推進力を削ぐ。
対策
変革しなかった場合のリスク・課題を具体的な数字や事例で共有する。小さな成功体験(クイックウィン)を早期に作り、変革の効果を実感させる。
要因 03 — 利害
変革によって自部門の権限・予算・人員が縮小されることへの抵抗。特に既存の力を持つ古参社員・管理職が変革の障壁になりやすい。
対策
キーパーソン(影響力のある古参社員)を変革推進役として巻き込む。経験・知見を新体制でも活かせる役割を与え、変革の担い手として位置づける。

3つの要因のうち、与件文でどれが描かれているかを先に特定することが大切です。「全部書こう」とすると文字数をオーバーしてしまうため、与件文で強調されている要因に絞って対策を記述してください。

解答に使えるキーワード集

組織構造変革・権限委譲の設問で使いやすいキーワードを15個まとめました。与件文の根拠と結びつけた文脈で使うことで、採点者に伝わる解答になります。

フラット化 権限委譲 段階的な移行 部門間連携 横断チームの編成 情報共有の仕組み化 責任範囲の明確化 中間管理職の育成 自律的な意思決定 事業部ごとの業績管理 巻き込み型の変革推進 キーパーソンの活用 全社最適の視点 OJTによる能力開発 定期的な報告・相談の場
ハイライトのキーワードは特に使用頻度が高いものです。ただし、キーワードだけを列挙する解答は得点になりません。「与件文のどの問題に対して、この施策を行うのか」という論理の流れを常に意識してください。

まとめ

組織構造の変革と権限委譲のテーマで得点するために、押さえておきたいポイントをチェックリストにまとめました。

  • 機能別・事業部制・マトリクスの3形態の違いとデメリットを即座に言語化できる
  • 設問の問い方(問題指摘・提案・課題対策)のパターンを見分けて解答の型を変える
  • 権限委譲は「なぜ・どこまで・どう支援」の3点セットで答える
  • 変革抵抗の要因(不安・慣性・利害)のどれが与件文に描かれているかを先に特定する
  • キーワードは与件文の根拠と結びつけた文脈の中で使い、単体での列挙を避ける
U のメモ
最初、「事業部制にすべき」と書いただけで満足してしまっていた頃がありました。でも採点基準を意識したとき、「提案した組織形態がなぜその企業に合うのか」という与件文との対応が書けていないと、知識を書いただけで点にならないと気づきました。形態の名前を書くことは出発点であって、そこからが解答です。与件文の言葉を必ず一つ拾って、それと結びつけることを意識しています。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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