近年の事例IIはSNSとデジタルマーケティングの比重が増しています。でも設問を前にして感じるのは、手段の話だけで解答を埋めても点にならないということです。「誰に届けるか」という目的の設定が先にあって、初めて施策が意味を持ちます。
目次
プロモーション手段7つを整理する
事例IIでプロモーション施策を問われたとき、頭の中に手段の一覧が整理されていると解答の幅が広がります。ただし手段を並べるだけでは得点になりません。「この手段がこのターゲットに有効な理由」を与件文に根拠を置きながら説明できることが大切です。
| 手段 |
効果が出やすい顧客層 |
事例IIでの頻出場面 |
| SNS(Instagram/LINE/X) |
20〜40代・情報感度が高い層・観光客 |
認知拡大・ビジュアル訴求・既存顧客との関係維持 |
| チラシ・折込 |
地域在住の中高年層・主婦層 |
地域密着型の店舗が近隣住民へ告知する場面 |
| イベント・体験会 |
ファミリー層・初回接触の見込み客 |
新規顧客の獲得・商品の体験価値を訴求したい場面 |
| 口コミ・紹介 |
既存顧客の周辺(信頼をベースに広がる) |
紹介制度・レビュー促進・常連客を起点にした認知拡大 |
| 地域連携(行政・観光協会等) |
観光客・インバウンド・地域外からの来訪者 |
観光拠点への情報掲出・地域ブランドとの相乗効果 |
| HP・ECサイト |
検索行動をとる全年齢層・遠隔地の見込み客 |
認知後の情報収集・地域外への販路開拓・EC展開 |
| メルマガ・LINE配信 |
一度接点を持った既存顧客・会員層 |
リピート促進・セール告知・季節商品の案内 |
解答で手段を選ぶときのチェックポイント
ターゲットの年齢層・情報接触行動が与件文に書かれているか確認する
「既存顧客へのリピート促進」と「新規客への認知拡大」では使う手段が異なる
複数の手段を組み合わせるときは、それぞれの役割を分けて書く(例:SNSで認知→LINEでリピート)
近年頻出「SNS活用」設問の答え方
令和4〜6年度の事例IIでSNS活用を問う設問が増えています。設問文に「SNSを活用して」と書かれていても、「SNSで発信する」だけでは半答です。Instagram・LINE・Xそれぞれの特性を理解し、ターゲットと目的に合わせた使い分けを書けることが求められています。
ビジュアル訴求・世界観の発信
写真・動画を中心に世界観・雰囲気・商品の見た目の良さを届けるツールです。ハッシュタグで地域外にも届けられる点が中小企業の認知拡大に有効です。
有効なターゲット:20〜40代女性・グルメ・旅行・インテリアに関心がある層・観光客
解答キーワード:世界観の統一・フォト映え・ハッシュタグ活用・ストーリーズでの限定情報・UGC(ユーザー投稿)促進
既存顧客との関係維持・リピート促進
一度友だち登録した顧客に直接メッセージを届けられます。来店促進・セール告知・季節商品の案内に最適で、顧客との継続的な接点を作れます。
有効なターゲット:一度来店した既存顧客・会員登録済みのリピーター層・地域の常連客
解答キーワード:友だち登録特典・クーポン配信・セグメント配信・来店頻度に応じたメッセージ・リピート率向上
情報拡散・リアルタイム発信
リポストによる情報拡散力が高く、旬な情報やイベント告知を素早く広める特性があります。文字ベースの情報発信に向いており、地域外への認知拡大に使えます。
有効なターゲット:情報収集に積極的な層・地域の食・文化に関心を持つ遠方の見込み客
解答キーワード:リアルタイム情報・バズ狙いの投稿・イベント告知・地域ハッシュタグ・口コミの拡散促進
地域連携・コラボレーション施策の頻出パターン
地域連携は事例IIの「プロモーション」設問で毎年のように登場するテーマです。行政・観光協会・異業種の企業との連携は、単独では届かない顧客層にアプローチする手段として与件文に登場することが多く、設問もその活用方法を問う形で出てきます。
パターン 01
行政・自治体との連携
地域の産業振興・観光推進・補助金制度など行政のリソースを活用する形。地域ブランドのお墨付きを得られることで、信頼性向上にもつながります。
頻出キーワード:産業振興施策・地域ブランド認定・補助金活用・行政の広報媒体への掲載・公民館・道の駅等の公共施設との連携
パターン 02
観光協会・観光施設との連携
観光情報誌・観光案内所・旅館ホテルとの連携により、観光客という「新規客」を取り込む施策です。インバウンド対応が絡む事例でも頻出です。
頻出キーワード:観光ルートへの組み込み・観光協会のHP掲載・土産物コーナーへの商品提供・旅行パッケージとのセット化・インバウンド対応(多言語化)
パターン 03
異業種連携・コラボレーション
補完的な関係にある他業種の企業と協力して、お互いの顧客を紹介し合ったり、新商品を共同開発したりする施策です。資源の少ない中小企業に有効な手法です。
頻出キーワード:クロスプロモーション・共同企画・相互紹介制度・地域内コラボ商品・セット割引・合同イベント
地域連携を解答に書くときの注意点
連携先は「なぜその相手と組むのか」を与件文の根拠とともに書く
「観光協会と連携する」だけでは抽象的。「観光客という新規顧客層にリーチするために」という目的を必ずセットで示す
連携によって得られる効果(集客・認知・信頼性向上など)を1文で明示する
地域連携の設問で「行政と連携する」と書いたものの、具体的に何をするのかが書けなかった経験があります。解答を作るとき、「その連携で何が変わるのか」という変化の前後を頭に描いてから書くようにしたら、施策の内容を具体的に書けるようになりました。
「ダナドコ」でプロモーション施策を組み立てる
事例IIの定番フレームワーク「ダナドコ」は、プロモーション施策の設問でも使えます。「誰に(ターゲット)・何を(メッセージ)・どのように(手段)・どこで(チャネル)」の4要素を揃えることで、採点官に伝わる解答構造が生まれます。
ターゲットを特定する
セグメンテーション→ターゲティングの成果
与件文から、プロモーションを届けたい顧客層を特定します。年齢・性別・来訪理由・居住エリア・購買行動など、設問の前後で示されている属性を根拠に絞り込みます。
例)「地域外からの観光目的の30〜40代女性で、SNSで情報収集してから来店するタイプ」
例)「地元在住でリピートしているが来店頻度が下がっている50代以上の既存顧客層」
伝えるメッセージを決める
強みを顧客価値の言葉に変換する
自社の強み(STP後のポジショニング)をターゲットに刺さる言葉に変換します。「地元食材の安心感」「職人の手仕事の物語」「他では買えない限定感」など、そのターゲットが価値を感じるメッセージを選びます。
例)「創業60年の醸造技術で作った、地元でしか買えない限定商品という希少性と安心感」
例)「1組ずつのオーダーメイド対応という、チェーン店にはない丁寧さと個別感」
情報を届ける手段を選ぶ
ターゲットの情報収集行動に合わせる
ターゲットが普段どのように情報を収集するかを起点に手段を選びます。SNSを使う層にはInstagramやX、地域住民へはチラシや地域コミュニティへのアプローチ、既存顧客にはLINEやメルマガが有効です。
例)観光目的の若い女性向け → Instagramで世界観を発信し、ハッシュタグ経由での発見を狙う
例)地元リピーター向け → LINE公式アカウントでクーポン配信し、来店頻度の維持を図る
接触する場所・タイミングを設計する
顧客の行動動線に合わせて接点を置く
「どこに居るときに情報と出会うか」を考えます。観光地を訪れる前・現地滞在中・帰宅後のそれぞれで有効なチャネルが変わります。顧客の動線上に情報接触ポイントを設計することが重要です。
例)訪問前:観光協会サイト・SNSのハッシュタグ / 滞在中:観光案内所へのチラシ設置・観光拠点への掲出 / 帰宅後:SNSフォロー促進・LINE登録による継続接点
解答に使えるキーワード集
プロモーション・SNS活用・地域連携の設問で頻出のキーワードをまとめました。与件文の内容と対応するものを選んで解答に組み込みましょう。
ターゲットへの訴求
SNSによる認知拡大
世界観の統一・発信
LINE公式でのリピート促進
UGC(ユーザー投稿)の活用
口コミによる信頼の拡散
紹介制度・紹介特典
観光協会との連携
異業種とのクロスプロモーション
地域ブランドの活用
イベント・体験会の開催
顧客との継続的な接点設計
ダナドコ(誰に・何を・どこで・どのように)
情報接触タイミングの設計
プッシュ型とプル型の組み合わせ
まとめ
プロモーション施策の設問は、手段の知識より「誰に届けるか」という目的設定の力で差がつきます。ダナドコの4要素を揃え、与件文の根拠を置きながら解答を組み立てることが得点への近道です。
-
プロモーション手段を選ぶ前に、ターゲット(誰に届けるか)を与件文から特定したか
-
SNS活用の解答で「Instagram・LINE・X」の特性を使い分け、目的に合った手段を選んでいるか
-
地域連携施策で「なぜその連携先なのか・連携による効果は何か」を明示しているか
-
ダナドコ(誰に・何を・どのように・どこで)の4要素が解答の中に揃っているか
-
「SNSで発信する」だけで終わらせず、発信する内容・ターゲット・期待効果まで書いているか
プロモーション設問を解くとき、私は「この会社の顧客はどこにいて、どのタイミングで情報を探すだろう?」という問いを起点にするようにしています。観光地に来る前に検索する人には観光サイトとの連携が効き、来た後に思い出を振り返る人にはInstagramのタグが効く。手段の知識より、顧客の動線を想像する力の方が解答の精度を上げてくれると感じています。
Post Views: 14