アルバイトのシフトが全然入らなくて、「どうしたらやる気を出してもらえるか」を考えていたとき、マズローの欲求階層説がふと頭に浮かびました。試験勉強で覚えた理論が、まさかこんな場面で役に立つとは。事例Iのモチベーション問題って、実は身近な「人が動く理由」を問いているんだと気づいたんです。
事例Iの「モチベーション向上・人材育成」問題では、従業員がなぜ動くのかを理論で整理し、与件文の課題に対してOJT・MBO・評価制度をどう組み合わせるかを論述する力が問われます。理論名を書くだけでは得点にならず、「この会社のこの課題に、なぜこの施策か」を結びつける論理が採点ポイントです。このページでは、頻出理論から解答テンプレートまでまとめます。
- 試験頻出のモチベーション理論4つと事例Iでの使い方
- OJT・OFF-JT・ジョブローテーション・多能工化の違いと設問での使い分け
- MBOと評価エラーへの対処法
- 「モチベーション向上策を述べよ」設問の解答テンプレート(3軸)
- 解答に使えるキーワード15個
目次
モチベーション理論の試験頻出4つ
事例Iでは「モチベーション」に関する設問が毎年のように出題されます。理論の名前と要点だけでなく、「事例文のどの記述と結びつけるか」という視点で覚えることが実力につながります。
| 理論名 |
核心ポイント |
事例Iでの使い方(与件文の読み方) |
| マズローの欲求階層説 |
欲求は5段階(生理的→安全→社会的→承認→自己実現)で階層をなし、低次の欲求が満たされると高次の欲求が動機づけに働く。 |
「給与水準は業界並みだが離職が続く」→安全・生理的ニーズは満たされているが、承認・自己実現欲求へのアプローチが不足していると読む。施策例:キャリアパスの明示、表彰制度の整備。 |
| ハーズバーグの二要因理論 |
「衛生要因」(給与・職場環境など)は不満を解消するが意欲は高めない。「動機づけ要因」(達成感・承認・仕事の充実感)が意欲を高める。 |
「賃上げをしたが定着率が改善しない」→衛生要因のみに対処しており、動機づけ要因が整っていないと診断。施策例:成果の承認制度、業務のやりがい設計(ジョブエンリッチメント)。 |
| マクレガーのX理論・Y理論 |
X理論:人は本来怠慢で強制・管理が必要。Y理論:人は自発的に働き、自己実現を求める。管理スタイルの前提として使う。 |
「従業員を細かく管理している」→X理論的管理の記述。Y理論へ転換し、自律性を高める権限委譲・自己目標設定(MBO)を提案する流れをつくる。 |
| アダムスの公平理論 |
人は自分の投入(努力・スキル)と産出(報酬・評価)の比率を他者と比較し、不公平と感じると意欲が低下する。 |
「ベテランと若手の処遇格差が大きい」「評価基準が不明確」→公平感の欠如が離職・意欲低下の原因。施策例:評価基準の透明化、成果連動型処遇の整備。 |
4つすべてを解答に詰め込む必要はありません。与件文に登場する「課題の描写」に一番対応する理論を1〜2つ選び、そこから施策を導くのが正しい手順です。理論名を書いた後に「だから〜を行う」と続けられるかどうかが、知識止まりにならないための確認方法です。
人材育成の手法と設問での使い方
人材育成の手法は「どの場面でどれを選ぶか」が問われます。4つの手法それぞれの特徴と、設問での使いどころを整理しました。
育成手法 01
OJT(On-the-Job Training)
実際の業務を通じて上司・先輩が指導する育成方法。即戦力化のスピードが速く、コストが低い。一方で、指導者の質に成果が左右されやすく、体系的な知識習得には向かない。
設問での使いどころ:「技能承継が課題」「属人化した技術を若手に引き継ぐ必要がある」という与件文の記述に対して提案する。
育成手法 02
OFF-JT(Off-the-Job Training)
職場を離れた研修・セミナー・外部教育機関による体系的な学習。業務に直結しない理論・資格・マネジメントスキルの習得に適する。費用と時間がかかる点がデメリット。
設問での使いどころ:「管理職候補の育成」「資格取得支援で採用力を高める」など、中長期的な人材開発の文脈で使う。
育成手法 03
ジョブローテーション
一定期間ごとに担当部署・業務を異動させ、多様な経験を積ませる制度。将来の管理職候補に全社的視点を持たせる効果がある。一方で習熟に時間がかかる職種では生産性が一時的に低下する。
設問での使いどころ:「部門間の壁が厚い」「縦割りで全社最適の視点がない」という与件文に対し、相互理解と多能工的発展の手段として提案する。
育成手法 04
多能工化
一人の従業員が複数の工程・業務を担当できるよう育成すること。製造業で特に有効で、少人数での柔軟な生産対応・相互補完・ボトルネック解消につながる。
設問での使いどころ:「少子高齢化による人手不足」「欠員時に業務が止まる」「繁閑差が激しい」という与件文に対し、柔軟な人材配置の実現手段として提案する。
OJTとOFF-JTは対立ではなく補完の関係です。「OJTで実務を習得しながら、OFF-JTで体系的な理論・マネジメントスキルを身につける」という組み合わせが、解答でよく使われる形です。与件文に「後継者不足」と「管理職育成」が両方あれば、両方を組み合わせる解答が有効です。
MBOと評価制度を問う設問への答え方
MBO(目標管理制度)は事例Iの頻出テーマです。「なぜMBOを導入するのか」「評価が適正に機能していないのはなぜか」という2方向の問いに対応できるよう整理します。
MBO(Management by Objectives):上司と部下が話し合いで目標を設定し、その達成度を評価に結びつける制度。ドラッカーが提唱。自己目標設定によって内発的動機づけが高まる点が特徴。
導入の効果
目標が自分で設定したものであるため、達成への責任感と内発的動機づけが高まる。また、目標が明確になることで業績評価の納得感が上がり、公平感も高まる。
解答で使う場面
「評価基準が曖昧で不満が多い」「従業員の主体性が低い」という与件文の記述に対して、MBOの導入を施策として提案する。「目標の共有→自律的な行動→達成感による動機づけ」の流れを書く。
評価エラーへの対処 — 制度設計の問題を指摘する設問
設問例:「評価制度に問題があるとすれば何か。また対策を述べよ」(与件文に「評価が上司の好みで決まっているという不満がある」との記述あり)
問題の診断
「上司の好み」→ハロー効果・個人的偏見による評価エラー。評価基準が不明確なため、評価者の主観が入り込んでいる状態。
対策の骨格
評価基準を行動・成果ベースで明文化し、評価者研修を実施する。複数評価者による多面評価(360度評価)の導入も有効。評価結果をフィードバックする面談の定期化で納得感を高める。
評価制度の問題を問う設問では、「評価の公平感がない→不満発生→モチベーション低下→離職→技能流出」という連鎖を意識すると解答の論理が組み立てやすくなります。公平理論(アダムス)と組み合わせて記述すると理論的な厚みが出ます。
MBOを「目標管理」とだけ覚えていた頃は、なぜそれがモチベーションに繋がるのか全然言葉にできませんでした。「自分で決めた目標だから達成したい」という心理の仕組みを理解してから、設問への答え方がやっと固まってきた気がします。
「モチベーション向上策を述べよ」設問の解答テンプレート
事例Iで最も直球に問われる「モチベーション向上策を述べよ」という設問には、働きがい・承認・成長機会の3軸を軸に答えると、論理的かつ得点につながる解答を組み立てやすくなります。
仕事の意味・自律性の確保
業務が会社の目標・顧客価値にどう繋がるかを伝える。担当範囲を広げ(ジョブエンリッチメント)、自分の裁量で進められる環境をつくる。
与件文のシグナル例:「作業の繰り返しで意欲が低い」「仕事の全体像が見えていない」
成果の可視化・表彰・フィードバック
努力と成果を上司・組織が認める仕組みをつくる。表彰制度、定期的な1on1面談、評価結果の丁寧なフィードバックが該当する。
与件文のシグナル例:「頑張っても評価されない」「上司からのフィードバックがない」
キャリアパス・育成制度・挑戦機会
将来の成長イメージを描ける環境を整える。OJT・OFF-JT・ジョブローテーション・資格取得支援が施策として使える。
与件文のシグナル例:「将来のキャリアが見えず離職が多い」「若手の育成が追いついていない」
解答を書く際の手順は次のとおりです。
設問例:「従業員のモチベーション向上策を述べよ」(与件文に「評価基準が不明確で不満あり」「若手の離職が続いている」との記述あり)
承認の軸
評価基準を行動・成果ベースで明文化し、MBOを導入することで目標設定への自律参加と評価の納得感を高める。定期的な上司面談でフィードバックを行い、努力が正当に認められる環境をつくる。
成長機会の軸
OJTによる日常的な技術習得とOFF-JTによる体系的なスキル研修を組み合わせ、若手に成長の実感と将来のキャリアパスを提示することで離職を防ぐ。
働きがいの軸(字数があれば追加)
担当業務の範囲を段階的に広げ(ジョブエンリッチメント)、自分の仕事が顧客価値や会社目標に繋がることを可視化することで内発的動機づけを高める。
字数が限られている場合は、与件文で最も強く描かれている課題に対応する軸を1〜2つ選ぶことが大切です。3軸を全部薄く書くより、1〜2軸を与件文と結びつけて厚く書く方が採点者に伝わります。
解答に使えるキーワード集
モチベーション向上・人材育成の設問で使いやすいキーワードを15個まとめました。与件文の根拠と結びつけた文脈の中で使うことが前提です。
内発的動機づけ
MBO(目標管理制度)
動機づけ要因
公平感の確保
OJTとOFF-JTの組み合わせ
多能工化
ジョブローテーション
ジョブエンリッチメント
キャリアパスの明示
評価基準の透明化
定期的なフィードバック面談
承認・表彰制度
自律性の確保
技能承継
衛生要因の整備
ハイライトのキーワードは特に出題頻度が高く、解答での使用機会も多いものです。ただし、キーワードだけを並べる解答は得点になりません。「与件文のどの課題に対して、この施策を行うのか」という論理の橋渡しを必ず書いてください。
まとめ
モチベーション向上・人材育成のテーマで得点するために、確認しておきたいポイントをチェックリストにまとめました。
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マズロー・ハーズバーグ・マクレガー・公平理論の4つを与件文の記述と結びつけて使える
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OJT・OFF-JT・ジョブローテーション・多能工化の特徴と使いどころを区別できる
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MBOを「なぜ導入するか→どう効果があるか」の論理で説明できる
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「モチベーション向上策」の設問に働きがい・承認・成長機会の3軸から答えられる
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解答は理論名・施策名の列挙ではなく、与件文の課題との対応を論理的に書く
モチベーション理論を勉強した最初の頃、「マズローを知っている」と「マズローで答える」がまったく別のことだと気づくまでに時間がかかりました。理論は「与件文の課題を診断するレンズ」であって、レンズで見た後に施策を提案することが解答です。「なぜその理論を使うのか」を自分の言葉で説明できるようになると、どんな与件文が来ても応用できる手応えが出てきます。
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