U会計上の利益と税務上の利益がなぜ違うのか、最初はまったく意味がわかりませんでした。でも「会計はP/Lに費用を計上したのに、税務はその費用を認めていない。だから税金の計算がズレる」と理解した瞬間に、税効果会計の存在意義がようやく見えてきました。そのズレを資産・負債として計上するのが税効果会計です。
税効果会計は、会計上の利益と税務上の所得の差異(一時差異)から生じる法人税等の期間的なズレを、財務諸表に適切に反映させる会計処理です。一時差異には「将来減算一時差異(繰延税金資産)」と「将来加算一時差異(繰延税金負債)」があります。中小企業診断士試験では、繰延税金資産・繰延税金負債の概念と、リース会計の分類(ファイナンスリース・オペレーティングリース)が頻出です。
目次
税効果会計とは:一時差異の2種類
会計と税務の差異には、永久差異(ずっとズレ続ける)と一時差異(いずれは解消する)の2種類があります。税効果会計が対象とするのは一時差異のみです。
DEDUCTIBLE TEMPORARY DIFFERENCE
将来減算一時差異 → 繰延税金資産
意味会計では費用計上したが、税務では今期に認められない(将来に認められる)
B/S計上繰延税金資産(資産の部)として計上
例引当金の損金不算入・評価損の否認・税務上の繰越欠損金
直感「先払いした税金が将来戻ってくる権利」のイメージ
TAXABLE TEMPORARY DIFFERENCE
将来加算一時差異 → 繰延税金負債
意味税務では今期に収益計上されたが、会計では将来に認識する
B/S計上繰延税金負債(負債の部)として計上
例積立金方式の圧縮記帳・有価証券の時価評価差額
直感「将来払うことが決まっている税金を前もって負債に計上」のイメージ
計算式:繰延税金資産(負債)=一時差異×実効税率(約30〜35%)
一時差異が1,000万円、実効税率30%なら→繰延税金資産300万円をB/Sに計上。



「繰延税金資産」という名前が難しいですが、要は「将来の節税効果」を今期の資産として計上したもの。回収見込みがないと資産にならないため、将来の課税所得が見込めない場合は計上できない(回収可能性の判断)という点が実務でも重要です。
リース会計:2種類の分類
リース取引は、実質的な所有権と経済的実態に基づいて2種類に分類されます。
FINANCE LEASE
ファイナンスリース
性質実質的には購入(解約不可・フルペイアウト)
要件①解約不能 ②フルペイアウト(現在価値が90%超など)の両方を満たす
会計処理資産・負債をB/Sに計上(オンバランス)
費用減価償却費+支払利息をP/Lに計上
例機械設備・航空機の長期リース
OPERATING LEASE
オペレーティングリース
性質実質的には賃借(短期・解約可能)
要件ファイナンスリースの要件を満たさないもの
会計処理B/Sには計上しない(オフバランス)
費用リース料をP/Lに費用計上するのみ
例複合機・短期レンタカー
試験頻出:「ファイナンスリース=オンバランス(B/S計上)」「オペレーティングリース=オフバランス」の区別が最重要。ファイナンスリースは資産・負債が両方増えるため、負債比率(レバレッジ)が上昇する点も押さえましょう。
税効果会計・リース会計の比較まとめ
| 項目 | 内容 | B/S上の扱い |
|---|---|---|
| 繰延税金資産 | 将来減算一時差異×実効税率 | 資産の部に計上 |
| 繰延税金負債 | 将来加算一時差異×実効税率 | 負債の部に計上 |
| ファイナンスリース資産 | 解約不能+フルペイアウトのリース | 資産・負債の両方に計上(オンバランス) |
| オペレーティングリース | 上記以外のリース | 計上なし(オフバランス)、費用のみP/L計上 |
| 永久差異 | 交際費の損金不算入など、永久にズレる差異 | 税効果会計の対象外 |
過去問で確認する
H27 第19問財務・会計
税効果会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.永久差異から生じる税金の差額も、税効果会計の対象となる。
イ.将来減算一時差異がある場合、繰延税金負債をB/Sの負債の部に計上する。
ウ.将来減算一時差異がある場合、繰延税金資産をB/Sの資産の部に計上する。
エ.繰延税金資産は、実効税率にかかわらず一時差異の金額そのままで計上する。
ア.永久差異から生じる税金の差額も、税効果会計の対象となる。
イ.将来減算一時差異がある場合、繰延税金負債をB/Sの負債の部に計上する。
ウ.将来減算一時差異がある場合、繰延税金資産をB/Sの資産の部に計上する。
エ.繰延税金資産は、実効税率にかかわらず一時差異の金額そのままで計上する。
正解:ウ ア:永久差異は税効果会計の対象外。イ:将来減算一時差異→繰延税金資産(資産の部)。エ:繰延税金資産=一時差異×実効税率(金額そのままではない)。
R3 第18問財務・会計
リース会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.ファイナンスリースは、B/Sにリース資産・リース負債を計上しない(オフバランス)。
イ.オペレーティングリースでは、リース料全額をB/Sに資産・負債として計上する。
ウ.ファイナンスリースの判定要件には、「解約不能」と「フルペイアウト」の両方が含まれる。
エ.ファイナンスリースを採用すると、負債比率は低下する。
ア.ファイナンスリースは、B/Sにリース資産・リース負債を計上しない(オフバランス)。
イ.オペレーティングリースでは、リース料全額をB/Sに資産・負債として計上する。
ウ.ファイナンスリースの判定要件には、「解約不能」と「フルペイアウト」の両方が含まれる。
エ.ファイナンスリースを採用すると、負債比率は低下する。
正解:ウ ア:ファイナンスリースはオンバランス(逆)。イ:オペレーティングリースはオフバランス(逆)。エ:ファイナンスリースはリース負債が増加するため負債比率は上昇する(逆)。









