労働市場まとめ|労働需要・供給と賃金・雇用水準の決まり方 | 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策

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労働市場の問題、実は過去問でよく問われるのに「なんとなく」で解いていることが多いと気づきました。労働需要曲線がなぜ右下がりになるのか、最低賃金が上がると雇用はどう変わるのか。図を使って一緒に整理してみます。

目次

なぜ「労働市場」が試験に出るのか

問いかけ

「政府が最低賃金を引き上げたら、雇用はどうなるか?」

→ 労働市場の図を使えば30秒で答えられます

経済学の試験では、労働市場の均衡・最低賃金の効果・失業の種類が頻出です。「なんとなく雇用が減る気がする」という感覚を、図解でしっかり根拠として説明できるようにしておくことが大切です。

労働需要曲線と労働供給曲線の基本

労働需要曲線(右下がり)
企業が雇う労働量を示す曲線。賃金が上がるほど雇用を減らすため右下がり。
根拠:賃金=限界生産物価値(VMP)のとき利潤最大化。賃金↑→雇用量↓
労働供給曲線(右上がり)
家計が働く労働量を示す曲線。賃金が高いほど働く意欲が高まるため右上がり。
例外:高賃金では余暇を優先し「後ろ曲がり(後方屈曲)」になる場合もある
項目労働需要(企業側)労働供給(家計側)
曲線の形状右下がり右上がり(高賃金では後方屈曲)
縦軸実質賃金(w/P)
横軸労働量(L)
均衡点需要曲線と供給曲線の交点
シフト要因(需要)技術革新・財の価格上昇→右シフト
シフト要因(供給)人口増加・非賃金所得減少→右シフト

労働市場の均衡と「均衡賃金」の意味

需要曲線と供給曲線の交点が「均衡賃金」と「均衡雇用量」を決めます。この点では、企業が雇いたい労働量と家計が働きたい労働量が一致しており、非自発的失業はゼロになります。

均衡の意味:
均衡賃金より高い賃金 → 労働供給 > 労働需要 → 非自発的失業が発生
均衡賃金より低い賃金 → 労働需要 > 労働供給 → 労働不足(人手不足)

最低賃金制度の効果を図で考える

最低賃金(法定下限)が均衡賃金より高く設定されると、どうなるでしょうか。これが試験でよく問われるシナリオです。

01
最低賃金 wmin が均衡賃金 w* より高く設定される
政策目標として賃金の底上げを図る。たとえば時給1,050円→1,200円への引き上げなど。
02
企業は雇用量を L* から LD へ削減する
賃金コスト上昇のため、企業は限界的な雇用を打ち切る。特にパート・アルバイトの削減が起きやすい。
03
労働供給量は L* から LS へ増加する
賃金が上がったため、新たに働きたいと思う人が増える(参入効果)。
04
LS − LD だけの非自発的失業が生じる
働きたいのに仕事が見つからない状態(非自発的失業)が発生。これが最低賃金引き上げのトレードオフ。
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「最低賃金を上げると失業が増える」という結論は、教科書的な完全競争モデルの話です。現実には企業の買い手独占力(モノプソニー)が働いている場合、最低賃金が雇用を増やすこともあります。試験では「完全競争モデルではどうなるか」を問われることがほとんどですが、頭の片隅に置いておくと面白いと思います。

失業の3種類:構造・摩擦・循環的失業

構造的失業
産業構造の変化により、求人と求職のスキル・業種がミスマッチして生じる失業。
例:製造業が縮小してIT職が増えたが、転換できない労働者が余る
摩擦的失業
転職活動中など、仕事を「探している最中」に一時的に生じる失業。自発的。
例:新卒が就職活動する期間、転職サイトを使って次の職を探している期間
循環的失業(需要不足失業)
景気後退による需要不足で、企業が生産を絞り雇用を削減することで生じる失業。
例:リーマンショック後の急激な雇用削減。AD-AS分析でのデフレギャップと連動
完全雇用失業率(自然失業率)
摩擦的失業+構造的失業のみが存在する状態の失業率。循環的失業ゼロ。
フィリップス曲線の長期的な均衡点と対応する失業率
失業の種類原因政策対応自発的か
構造的失業産業構造変化・スキルミスマッチ職業訓練・教育投資非自発的
摩擦的失業求職活動中の一時的な失業職業情報の充実・ハローワーク自発的
循環的失業景気後退・総需要不足財政・金融政策で需要刺激非自発的

身近な場面で考える:アルバイトの時給が上がるとき

最低賃金の引き上げを、身近なカフェのアルバイトで考えてみます。

従業員(労働供給側)
時給1,200円なら「もっと働きたい」と思う人が増える
これまで働いていなかった主婦・学生も応募してくる
労働供給量が増える(供給曲線上で上方へ移動)
カフェオーナー(労働需要側)
人件費が上がるため採用人数を絞ろうとする
一部シフトをセルフレジ・自動化で代替する
労働需要量が減る(需要曲線上で上方へ移動)

「働きたい人」は増えるのに「雇いたい枠」は減る。その差が非自発的失業として現れます。これが労働市場の図で一目でわかる最低賃金の経済学です。

実質賃金と名目賃金の違い

実質賃金 = 名目賃金 ÷ 物価水準(P)

例:名目賃金が5%上がっても、物価が6%上がれば実質賃金は下がる。
労働需要・供給の分析では実質賃金(w/P)を縦軸にとる。
試験では「実質賃金が低下すると雇用量はどう変わるか」のような問題が出る。

過去問で確認しておきたいポイント

  • 最低賃金が均衡賃金より高いとき、非自発的失業が発生する(完全競争モデル)
  • 労働需要曲線は限界生産物価値(VMP = P × MPL)曲線に対応する
  • 構造的・摩擦的失業の合計が「自然失業率」を構成する
  • 循環的失業は景気回復(総需要拡大政策)で対処できるが、構造的失業は政策が異なる
  • 労働供給曲線は高賃金領域で「後方屈曲」することがある(余暇が正常財の場合)

Uのメモ

個人的に混乱しやすかったのは「実質賃金と名目賃金」の違いです。マクロの問題では必ず「実質ベースで考える」ことを意識するようにしています。また、失業の3種類は「循環的失業だけ財政・金融政策で対処できる」という点で政策論と直結しているので、セットで覚えると応用が利きます。

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労働市場は、フィリップス曲線・AD-AS分析と深くつながっています。あわせて確認しておくと理解がさらに深まります。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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