リーダーシップ論まとめ|PM理論・SL理論・変革型リーダーシップを図解で整理

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企業経営理論の過去問を解いていたとき、「PM型リーダーシップ」という選択肢が出てきて、PとMって何だろうと思って調べてみました。そこから芋づる式に、マネジリアル・グリッドやSL理論まで出てきて、リーダーシップ論って思ったより体系的に整理されているんだなと。この記事では、試験に出る3つのアプローチをまとめて整理しています。

リーダーシップ論は、企業経営理論の「組織論」の中でも出題頻度が高いテーマのひとつです。「どんなリーダーが優れているのか」という問いへの答えは時代とともに変化してきました。大きく特性理論・行動理論・条件適合理論の3つのアプローチに分けて整理すると、各理論の位置づけが見えやすくなります。
目次

リーダーシップ論の全体像|3つのアプローチ

APPROACH 01
特性理論(資質論)
1940年代まで主流
リーダーは生まれつきの特性(知性・自信・社交性・決断力など)を持つという考え方。「リーダーは生まれつき」という前提に立ち、後天的な育成を重視しない点が批判された。
知性 自信 社交性
APPROACH 02
行動理論
1950〜1960年代
リーダーの行動パターンが有効性を決めるという考え方。「どう行動するか」に着目し、訓練によってリーダーになれることを示した。PM理論・マネジリアル・グリッドが代表例。
PM理論 マネジリアル・グリッド
APPROACH 03
条件適合理論(コンティンジェンシー)
1970年代以降
状況に応じて最適なリーダーシップは変わるという考え方。「唯一最善のスタイルはない」が前提で、部下の成熟度や状況によってスタイルを変えることを重視する。SL理論・パス・ゴール理論が代表例。
SL理論 パス・ゴール理論

PM理論(三隅二不二)|日本発の行動理論

PM理論は九州大学の三隅二不二(みすみ じゅうじ)が提唱した理論で、リーダーシップを2つの機能の組み合わせで捉えます。P機能(Performance:目標達成)とM機能(Maintenance:集団維持)の強弱によって4タイプに分類します。

M高
集団維持 強
M低
集団維持 弱
P高
目標達成 強
PM型
P高 × M高
目標達成と集団維持の両方が高い。最も高い成果と満足をもたらす理想型。
理想型
Pm型
P高 × M低
仕事の成果や課題達成を優先するが、人間関係への配慮が薄い。短期成果は出るが、メンバーの満足度は低い。
P低
目標達成 弱
pM型
P低 × M高
人間関係や集団のまとまりを重視するが、目標達成への推進力が弱い。雰囲気は良いが成果につながりにくい。
pm型
P低 × M低
目標達成も集団維持も機能しない。最も非効率なタイプ。成果も満足も低い。

※ P機能(Performance):課題解決・指示・管理など目標達成に関わる機能
※ M機能(Maintenance):人間関係の維持・強化・配慮など集団維持に関わる機能
※ PM型が最も高い業績と成員満足をもたらすとされる(三隅の研究より)

マネジリアル・グリッド(ブレイク&ムートン)

ブレイクとムートンが提唱したマネジリアル・グリッドは、横軸に「生産への関心」(1〜9)、縦軸に「人への関心」(1〜9)を置き、5つの代表的なリーダーシップスタイルを示します。PM理論に似ていますが、こちらはアメリカ発で、より細かいグリッドで位置づけを表現するのが特徴です。

(1, 1)
消極型
impoverished
生産にも人にも関心が低い。最低限の努力のみで、組織への貢献が極めて小さい。
生産低 × 人低
(9, 1)
権威型
authority-compliance
生産・課題達成を最優先し、人への配慮は後回し。高い成果は出るが、メンバーの不満が溜まりやすい。
生産高 × 人低
(1, 9)
カントリークラブ型
人間関係を最優先し、メンバーのニーズや感情に配慮するが、生産への関心は薄い。居心地は良いが成果は出にくい。
生産低 × 人高
(5, 5)
中道型
middle-of-the-road
生産と人間関係のバランスを取る。どちらも中程度で、突出した成果も突出した満足感も生まれにくい。
生産中 × 人中
(9, 9)
チーム型
team management
生産への高い関心と人への深い配慮を両立させる理想型。メンバーの参加意欲を高めながら高成果を追求する。
生産高 × 人高(理想)
U

PM理論とマネジリアル・グリッドはかなり似た構造をしているので、試験で混同しやすいんですよね。大きな違いは、PM理論は日本の三隅先生が考案した独自理論で、マネジリアル・グリッドはアメリカのブレイクとムートンが提唱したもの。出典(誰が考えたか)まで問われることがあるので、セットで覚えておくと安心です。

SL理論(ハーシー&ブランチャード)|状況対応型

SL理論(Situational Leadership)はハーシーとブランチャードが提唱した条件適合理論の代表例です。部下の「成熟度(能力 × 意欲)」に応じて、リーダーは4つのスタイルを使い分けるべきだと主張します。

M1 — 成熟度 最低
指示型(Telling)
能力:低
意欲:低
具体的な指示を与え、緊密に監督する。何をどうするかを明確に指定する。
M2 — 成熟度 低〜中
説得型(Selling)
能力:低〜中
意欲:高
指示しながら理由も説明し、意欲を引き出す。コーチングに近いアプローチ。
M3 — 成熟度 中〜高
参加型(Participating)
能力:高
意欲:低〜中
意思決定に参加させ、自律性を高める。能力はあるが意欲が落ちている段階に有効。
M4 — 成熟度 最高
委任型(Delegating)
能力:高
意欲:高
裁量を委ね、責任を持たせる。リーダーの関与を最小化してもパフォーマンスが出せる段階。
成熟度 能力 意欲 スタイル アプローチ
M1 指示型(Telling) 具体的指示・緊密な監督。何をどうするかをリーダーが決める
M2 低〜中 説得型(Selling) 指示しつつ理由を説明し、意思決定の根拠を共有する
M3 低〜中 参加型(Participating) 部下を意思決定に参加させ、自律性と意欲を引き出す
M4 委任型(Delegating) 裁量を完全に委ねる。リーダーの介入を最小化する

※ 成熟度が上がるにつれて、リーダーは指示的行動を減らし関係的行動を増やし、最終的に委任へと移行する。この「スタイルの変化方向」が試験でよく問われる。

変革型リーダーシップ(トランスフォーメーション型)

変革型(Transformational Leadership)
ビジョン・感情・成長を通じて動かす
  • ビジョン提示:将来への明確な方向性を示す
  • 感情的鼓舞:メンバーの感情に働きかけ、高い目標への意欲を引き出す
  • 知的刺激:既成概念を問い直し、創造的・革新的思考を促す
  • 個別配慮:一人ひとりのニーズや成長に個別に対応する
キーワード:ビジョン・鼓舞・成長。「人を変える」リーダーシップ。変化の激しい環境や組織変革に有効。
取引型(Transactional Leadership)
成果と報酬の交換関係で動かす
  • 条件付き報酬:成果を上げたメンバーに報酬を与える(アメ)
  • 例外管理:問題や逸脱が起きたときのみ介入する(ムチ)
  • 明確な役割分担:期待する成果と報酬の関係を明示する
  • 短期的・安定的環境での有効性が高い
キーワード:報酬と成果の交換。「アメとムチ」の構造。安定した環境では機能するが、変革期には限界がある。

過去問で確認する

企業経営理論 — PM理論 H28年第19問 改
PM理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア P機能とは集団の人間関係を維持・強化する機能である。
  • イ pm型リーダーは目標達成と集団維持の両方において最も高い成果を上げる。
  • ウ P機能は生産・課題達成に関する機能であり、M機能は集団維持に関する機能である。
  • エ pM型はP機能・M機能ともに低く、最も非効率なリーダーシップタイプである。
解説
正解は。PM理論の定義そのものを問う基本問題。
ア:P機能は目標達成(課題解決・指示・管理)、M機能が人間関係維持の機能。アはPとMが逆(×)。
イ:最も高い成果をもたらすのはPM型(P高×M高)。pm型はP・M両方が低く最も非効率(×)。
エ:pM型はP低×M高。P・M両方低いのはpm型(×)。
正解はウで、P機能とM機能の定義を正確に述べている。
企業経営理論 — SL理論 H30年第18問 改
SL理論(ハーシー&ブランチャード)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 部下の成熟度が最も低いM1段階では、委任型のリーダーシップが有効である。
  • イ SL理論は、部下の成熟度にかかわらず同一のリーダーシップスタイルが有効だと主張する。
  • ウ 部下の成熟度が高まるにつれて、リーダーは指示的行動を減らし関係的行動・委任へと移行する。
  • エ M3段階(能力高・意欲低)には指示型が最も適している。
解説
正解は。SL理論の核心「成熟度に応じたスタイル変化」の方向性を正確に述べている。
ア:M1(能力低・意欲低)には指示型(Telling)が有効。委任型はM4向け(×)。
イ:SL理論はまさに「状況(成熟度)によってスタイルを変える」ことを主張する理論(×)。
エ:M3(能力高・意欲低)には参加型(Participating)が適切。指示型はM1向け(×)。
成熟度が上がるほど指示的行動を減らし、最終的に委任へ移行するというウが正解。

Uのまとめメモ

MEMO — 整理してわかったこと
  • リーダーシップ論は「特性理論(生まれつき)→行動理論(行動で決まる)→条件適合理論(状況によって変わる)」という歴史的な流れで整理すると、各理論の位置づけが見えやすい
  • PM理論は日本・三隅先生の理論、マネジリアル・グリッドはアメリカ・ブレイク&ムートン——出典の混同に注意。構造は似ているが別物
  • SL理論のポイントは「成熟度が上がるにつれてスタイルを変える」こと。M1=指示型、M2=説得型、M3=参加型、M4=委任型の順番は確実に押さえる
  • 変革型リーダーシップのキーワードは「ビジョン・感情的鼓舞・知的刺激・個別配慮」の4つ。取引型(アメとムチ)との対比で問われることが多い
  • PM理論とマネジリアル・グリッドの「理想型」はどちらも両方高い(PM型 / (9,9)チーム型)——一致しているので覚えやすい
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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