U製品を「安くする」方法は2つあると学びました。コストを削るか、機能に見合った価値を高めるか。VEという概念はこの2つを同時に考えます。顧客が本当に求めている機能は何かを問い直して、不要な機能を省き、必要な機能をより安く提供する。「コスト削減」と「価値向上」が矛盾しない世界観が新鮮でした。
VE(Value Engineering:価値工学)は、製品・サービスの「価値(Value)=機能(Function)÷コスト(Cost)」を最大化する体系的な手法です。1947年にGEのローレンス・マイルズが考案しました。VAとは設計段階(VE)と量産段階(VA)の違いで呼ばれる場合が多く、本質的な手法は同じです。中小企業診断士試験では、VEの定義・価値の式・機能分析・VEとVAの違いが出題されます。
目次
価値(Value)の定義
V(価値)= F(機能) ÷ C(コスト)
V:Value(価値) F:Function(機能) C:Cost(コスト)
顧客が認める機能に対して、そのコストが適切かを問う式。
顧客が認める機能に対して、そのコストが適切かを問う式。
「価値を高める」方法は式から4方向に導けます。
PATTERN 1
機能↑ コスト→
F増 / C同 → V増
コストを変えずに機能・品質を向上させる。最もシンプルな価値向上。
PATTERN 2
機能→ コスト↓
F同 / C減 → V増
機能を落とさずにコストを下げる。典型的なコスト削減型VE。
PATTERN 3
機能↑↑ コスト↑
F大幅増 / C小幅増 → V増
コストは多少上がっても機能・品質が大幅に向上すれば価値は増す。
PATTERN 4
機能↓ コスト↓↓
F小幅減 / C大幅減 → V増
不要な機能を除去してコストを大幅削減。機能整理型VE。
VE と VA の違い
VALUE ENGINEERING
VE(価値工学)
適用段階設計・開発段階(製品化前)
対象製品設計・仕様・材料選定
コスト削減効果大きい(設計段階での変更は低コスト)
別名源流管理・上流工程の改善
VALUE ANALYSIS
VA(価値分析)
適用段階量産・製造段階(既存製品)
対象製造プロセス・部品・調達
コスト削減効果VEより限定的(変更コストが大きい)
別名現場改善・下流工程の改善
試験頻出:「VEは設計段階、VAは量産段階」という区別は必須。設計段階での変更ほどコスト削減効果が大きい(「源流管理」の原則)という点も押さえましょう。



「機能」の定義が面白くて。VEでは機能を「動詞+名詞」で表現します。たとえばボルトの機能は「部品を固定する」。こう定義することで「固定できれば別の手段でもよい」という発想が生まれる。機能を言葉にする作業が、本質を問い直す入口になるのです。
VE推進の手順(機能分析 5ステップ)
STEP 1
情報収集
対象製品・サービスのコスト・顧客ニーズ・仕様・競合情報を収集する。「現在いくらかかっているか」を正確に把握することが出発点。
STEP 2
機能定義
製品・サービスの機能を「動詞+名詞」で記述する。基本機能(主目的)と二次機能(補助・手段)に分類する。
STEP 3
機能評価
各機能に対して「価値コスト(その機能を実現するために最低限必要なコスト)」を算出し、現在コストと比較する。差が大きいほど改善余地が大きい。
STEP 4
代替案の創出
機能を維持しながらコストを削減できる代替案をブレインストーミング等で発想する。材料変更・工程統合・部品共通化など。
STEP 5
代替案の評価・実施
代替案を技術・コスト・品質・実現可能性の観点で評価し、最良案を選択して実施計画を立てる。
VEと関連手法の比較
| 手法 | 目的 | アプローチ | 適用段階 |
|---|---|---|---|
| VE(価値工学) | 価値(機能/コスト)の最大化 | 機能分析から発想 | 設計・開発段階 |
| VA(価値分析) | 既存製品の価値向上 | 機能分析から発想 | 量産・製造段階 |
| IE(工業工学) | 作業効率・生産性向上 | 時間・動作の分析 | 製造・作業段階 |
| QC(品質管理) | 品質の安定・向上 | 統計的管理・改善 | 製造・検査段階 |
| 原価企画 | 目標原価の達成 | 市場価格から逆算 | 企画・設計段階 |
過去問で確認する
H25 第11問運営管理
VEに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.VEは量産段階で行われ、設計変更を伴わない改善手法である。
イ.VEにおける「価値」は機能をコストで割ったものと定義される。
ウ.VEは既存の設計を前提として部分的にコスト削減を図る手法である。
エ.VEにおける機能分析では、機能を「形容詞+名詞」で定義する。
ア.VEは量産段階で行われ、設計変更を伴わない改善手法である。
イ.VEにおける「価値」は機能をコストで割ったものと定義される。
ウ.VEは既存の設計を前提として部分的にコスト削減を図る手法である。
エ.VEにおける機能分析では、機能を「形容詞+名詞」で定義する。
正解:イ ア:VEは主に設計段階(量産段階はVA)。ウ:VEは白紙から機能を問い直す(既存前提ではない)。エ:機能は「動詞+名詞」で定義(形容詞ではない)。
R2 第9問運営管理
VEにおける価値向上の方向性として、最も不適切なものはどれか。
ア.機能を維持したままコストを下げる。
イ.コストを維持したまま機能を高める。
ウ.コストを大幅に下げ、機能も同程度に下げる。
エ.コストを多少上げても機能を大幅に高める。
ア.機能を維持したままコストを下げる。
イ.コストを維持したまま機能を高める。
ウ.コストを大幅に下げ、機能も同程度に下げる。
エ.コストを多少上げても機能を大幅に高める。
正解:ウ 価値=機能÷コスト。ウはコスト↓↓・機能↓↓で価値が同じか低下する可能性あり。価値向上には「コスト削減幅>機能低下幅」が必要。機能とコストが同率で変化すると価値は変わらない。









