株式会社の機関設計を図解で整理|取締役・監査役・委員会の選択パターンと試験ポイント

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経営法務の機関設計は、最初に見たとき用語だらけで戸惑いました。

取締役会・監査役会・指名委員会等・監査等委員会……どれがどう違うのか、すぐには整理できなかったのです。

でも「この会社にはどの機関が必要か」をフローチャートで判定できるようにしたら、急に整理できました。

3つのパターンの違いがはっきり見えてきて、問題を解くときの迷いも減った気がしています。

株式会社の機関設計とは、会社の意思決定・業務執行・監督をどの機関が担うかを決める仕組みです。経営法務では、必須機関の種類・設置要件・3つの機関設計パターンの違いが繰り返し問われます。「この会社規模ならどの機関が必要か」をフローで判定できる状態にしておくと、得点につながります。
3 機関設計のパターン数
4年 監査役の任期(短縮不可)
頻出 経営法務 機関設計問題
目次

機関とは何か

「機関」とは、会社の意思決定・業務執行・監督を担う組織のことです。株式会社には複数の機関があり、それぞれ異なる役割を持ちます。

意思決定機関
株主総会:最高意思決定機関。会社のすべての事項について決議できる
取締役会:業務執行の意思決定と代表取締役の監督を担う
業務執行機関
代表取締役:会社を代表して業務を執行する
取締役(最低1名):業務執行と意思決定の担い手
監督・監査機関(種類)
監査役:取締役の業務執行と会計を監査する
監査役会:3名以上の監査役で構成(過半数が社外監査役)
監査等委員会・指名委員会等:委員会型の監督機関
その他の機関
会計監査人:公認会計士または監査法人。大会社で必須
会計参与:任意設置。取締役と共同で計算書類を作成

必須機関と任意機関

すべての株式会社に必ず設置しなければならない機関と、会社の規模・種類によって追加される機関があります。この区別を理解しておくことが、機関設計問題の基礎となります。

すべての株式会社に必須の機関
株主総会(最高意思決定機関)と取締役(最低1名)は、会社の種類・規模を問わず必ず設置が必要です。この2つが出発点となります。
機関 設置要件・条件
取締役会 大会社・公開会社では原則として必須。取締役3名以上が必要
監査役 取締役会設置会社では必須(監査等委員会・指名委員会等設置会社を除く)
監査役会 公開会社かつ大会社では必須(委員会型を除く)。3名以上、過半数が社外監査役
会計監査人 大会社では必須(資本金5億円以上または負債200億円以上)
監査等委員会 監査等委員会設置会社として定款で定めた場合に設置。3名以上の取締役で構成
指名委員会等 指名委員会等設置会社として定款で定めた場合に設置。各委員会3名以上

3つの機関設計パターン

大会社を中心に、現行の会社法では3つの機関設計パターンが認められています。どのパターンを選択するかによって、監督・監査の仕組みと、社外取締役の関与の程度が大きく変わります。

監査役会設置会社
伝統型 / 最も一般的
取締役会監査役会会計監査人
監査役は独立した立場で取締役・会計を監査
代表取締役が業務執行を担う
監査役は取締役を兼ねられない
指名委員会等設置会社
米国型 / 監督機能強化
指名・監査・報酬の3委員会を設置
各委員会の過半数は社外取締役
執行役が業務執行(代表執行役)
代表取締役は存在しない
監査等委員会設置会社
2015年導入 / 柔軟型
監査等委員会が監督・監査を担う
委員会は取締役(3名以上)で構成
指名委員会等より導入しやすい設計
代表取締役が業務執行を担う

フローチャートで必要な機関を判定する

「この会社にはどの機関が必要か」は、会社の属性を3つ確認することで判定できます。公開会社か・大会社か・委員会型を選ぶかという3つの分岐です。試験問題を解くときにも、この流れで整理すると判断しやすくなります。

Q1:公開会社か?(株式の譲渡制限がないか)
YES(公開会社)
取締役会の設置が必要。監査役または監査等委員会等も必要
NO(非公開会社)
取締役のみで可。取締役会・監査役は任意
Q2:大会社か?(資本金5億円以上 or 負債200億円以上)
YES(大会社)
会計監査人の設置が必須。監査役会も原則必要(委員会型を除く)
NO(中小会社)
会計監査人は任意。監査役会も必須ではない
Q3:委員会型を選択するか?
YES(委員会型)
指名委員会等 or 監査等委員会設置会社を選択。監査役は不要
NO(伝統型)
監査役会設置会社。監査役・監査役会が監督機能を担う
フローを使うコツ
試験問題では「公開会社・大会社である会社の機関設計として正しいものはどれか」という形で条件が与えられます。Q1→Q2の順に当てはめると、必須機関が素早く絞り込めます。

試験頻出ポイントを整理する

機関設計の問題では、特定の数値や条件が繰り返し問われます。数字と条件をセットで押さえておくと、選択肢の絞り込みがしやすくなります。

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監査役の任期
取締役の2年より長く、短縮不可。定款でも短縮できないことが重要ポイント
3名以上
取締役会の設置要件
取締役が2名以下では取締役会を設置できない。委員会型でも各委員会は3名以上
10年間
社外取締役の就任前要件
就任前10年間、その会社の取締役・執行役・使用人でないことが独立性の要件
指名委員会等設置会社の特徴(最重要)
代表取締役が存在しない点が最大の特徴です。業務執行は執行役(代表執行役)が担います。取締役会の役割は業務執行の監督に特化しており、自ら業務執行は行いません。「代表取締役がいない会社の形態は?」という問いで問われることが多いです。

過去問で確認する

学んだ内容を過去問形式で確認してみます。似たような表現で問われることが多いため、解説を読みながら根拠を確認することが大切です。

過去問チェック ① 監査役の任期 経営法務 / 機関設計
株式会社の監査役に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア. 監査役の任期は2年であり、定款で短縮することができる。
  • イ. 監査役の任期は2年であり、定款でも変更できない。
  • ウ. 監査役の任期は4年であり、定款によっても短縮することはできない。
  • エ. 監査役の任期は4年であるが、定款で2年に短縮することができる。
解答・解説
正解:ウ
監査役の任期は4年です。取締役の任期(2年、定款で短縮可)と比較されやすいですが、監査役は独立性確保のため定款によっても短縮することができません。取締役会設置会社・非設置会社いずれも4年で統一されています。
過去問チェック ② 指名委員会等設置会社 経営法務 / 委員会型
指名委員会等設置会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア. 代表取締役が会社を代表して業務を執行する。
  • イ. 指名委員会・監査委員会・報酬委員会の各委員会の過半数は社内取締役で構成される。
  • ウ. 監査役を置かなければならない。
  • エ. 代表取締役は存在せず、代表執行役が業務を執行する。
解答・解説
正解:エ
指名委員会等設置会社では代表取締役は設置されません。業務執行は執行役(代表執行役)が担い、取締役会は監督機能に特化します。各委員会の過半数は社外取締役である必要があり(イは誤り)、監査役も置きません(ウは誤り)。
U のメモ
機関設計は用語が多く感じられますが、「誰が監督するか」という視点で整理すると見通しが良くなります。監査役型では独立した監査役が監督し、指名委員会等型では社外取締役が過半数を占める委員会が監督し、監査等委員会型はその中間のイメージです。3つのパターンの違いを、各委員会の役割と社外取締役の要件とセットで覚えると、問題を解くときの判断が安定してきます。監査役の任期4年・取締役3名以上・代表取締役の有無は数字ごと押さえておくと安心です。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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