U「稼働率0.9のシステムを並列に2台つなぐと稼働率はいくつ?」——経営情報システムでほぼ毎年出る計算です。MTBF・MTTRから稼働率を求め、直列・並列の公式をマスターしましょう。
稼働率の基本——MTBF と MTTR
システムがある時間帯に「正常に動いている確率(割合)」のことを稼働率(Availability)といいます。
| 指標 | 正式名称 | 意味 | 計算のポイント |
|---|---|---|---|
| MTBF | 平均故障間隔 Mean Time Between Failures | 故障から次の故障までの平均時間(正常稼働の平均時間) | 大きいほど「壊れにくい」 |
| MTTR | 平均修復時間 Mean Time To Repair | 故障してから修復完了までの平均時間 | 小さいほど「すぐ直る」 |
計算例:MTBF = 90時間、MTTR = 10時間 の場合
稼働率 = 90 / (90 + 10) = 90/100 = 0.9(90%)
この場合、システムは平均的に時間全体の90%は動いており、10%は修理中ということになります。
MTBF が大きいほど(壊れにくい)、MTTR が小さいほど(すぐ直る)、稼働率は高くなります。高信頼性システムを設計する際は、この2つをともに改善することが基本戦略です。
直列システムの稼働率計算
複数のコンポーネントがすべて正常に動いてはじめてシステムが動作する構成を直列システムといいます。
計算例①:3つのサーバーが直列に接続
サーバーA(稼働率0.9)→ サーバーB(0.8)→ サーバーC(0.95)
システム全体の稼働率 = 0.9 × 0.8 × 0.95 = 0.684(68.4%)
3台すべて高性能でも、直列では合計稼働率が下がる点に注意が必要です。
計算例②:同じ稼働率 0.9 のパーツを2台直列
R = 0.9 × 0.9 = 0.81
並列システムの稼働率計算
複数のコンポーネントのうち1つでも正常に動いていればシステムが動作する構成を並列システムといいます。冗長化(バックアップ)の考え方です。
並列システムが故障するのは「すべてのコンポーネントが同時に故障したとき」だけです。
計算例①:稼働率0.9のサーバー2台を並列構成
故障確率 = (1 − 0.9) × (1 − 0.9) = 0.1 × 0.1 = 0.01
稼働率 = 1 − 0.01 = 0.99(99%)
1台のとき90%だったのが、並列にすることで99%に向上!
計算例②:稼働率0.8のコンポーネント3台を並列
稼働率 = 1 − (1−0.8)³ = 1 − 0.2³ = 1 − 0.008 = 0.992
直列と並列の組み合わせ計算
試験では直列と並列が組み合わさった複合システムの問題がよく出ます。「内側から外側へ」順番に計算するのがコツです。
計算例:A直列(B並列C)
・AとBの稼働率 = 0.9、Cの稼働率 = 0.8
・BとCが並列:R(BC) = 1−(1−0.9)(1−0.8) = 1−0.1×0.2 = 1−0.02 = 0.98
・Aと(BC)が直列:R(システム) = 0.9 × 0.98 = 0.882
計算例:(A並列B)直列C
・A・Bの稼働率 = 0.8、Cの稼働率 = 0.9
・AとBが並列:R(AB) = 1−(1−0.8)² = 1−0.04 = 0.96
・(AB)とCが直列:R(システム) = 0.96 × 0.9 = 0.864
| 構成 | 稼働率の変化 | コスト |
|---|---|---|
| 直列(パーツ追加) | 低下(確実) | 増加 |
| 並列(冗長化) | 向上 | 増加 |
| パーツの品質向上 | 向上 | 増加(場合による) |
フォールトトレランスと高可用性
| 用語 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| フォールトトレランス (耐障害性) | 障害が発生してもシステムが継続して動作し続ける能力 | RAID構成、冗長電源、クラスター構成 |
| フォールトアボイダンス (障害回避) | そもそも障害が起きないように高品質な部品を使う | 高信頼性部品の採用、定期保守 |
| フェールセーフ | 障害発生時に安全な状態に移行する | 信号機が故障→全方向赤信号 |
| フェールソフト | 障害発生時に機能を縮退させても動作を継続する | 一部機能が停止しても主要機能は維持 |
| フールプルーフ | 誰が操作しても誤動作しないように設計 | ドアが閉まらないと起動しない洗濯機 |
RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)
| RAID レベル | 構成 | 特徴 |
|---|---|---|
| RAID 0 | ストライピング | 性能向上(冗長性なし) |
| RAID 1 | ミラーリング | 1台が故障しても継続(コスト高) |
| RAID 5 | 分散パリティ | 1台故障に耐えられる(バランス良) |
| RAID 6 | 二重分散パリティ | 2台故障に耐えられる |
バスタブ曲線——故障率の時間的変化
機器・システムの故障率は、使用期間によって特徴的なパターンを示します。グラフの形がバスタブ(浴槽)に似ていることからこの名称があります。
| フェーズ | 名称 | 故障の原因 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 初期(使用開始直後) | 初期故障期 | 製造不良、設計ミス、組み付けミス | バーンイン(エージング)テスト |
| 中期(安定稼働中) | 偶発故障期 | 予測困難なランダム故障 | 定期交換、バックアップ |
| 後期(耐用年数超過) | 摩耗故障期 | 部品の経年劣化、磨耗 | 計画的な更新・リプレース |
SLA・可用性の指標
実務では稼働率を「ダウンタイム(年間停止時間)」で表すことが多いです。試験でも「5ナイン(99.999%)」といった表現が登場します。
| 稼働率 | 年間ダウンタイム(約) | 表現 |
|---|---|---|
| 99%(2ナイン) | 約87.6時間 | 許容しにくい |
| 99.9%(3ナイン) | 約8.76時間 | 一般的なWebサービス |
| 99.99%(4ナイン) | 約52.6分 | 重要なシステム |
| 99.999%(5ナイン) | 約5.26分 | 金融・医療・通信インフラ |
サービス提供者と利用者の間で締結される「サービス品質の保証協定」です。稼働率・応答時間・障害時の対応時間などが明記されます。稼働率99.9%を下回った場合の「返金・ペナルティ」が盛り込まれることもあります。
試験で頻出の計算問題まとめ
問題①:MTBF・MTTRから稼働率を求める
MTBF = 450時間、MTTR = 50時間 のとき稼働率は?
A = 450 / (450 + 50) = 450/500 = 0.9
問題②:並列構成の稼働率
稼働率0.9のシステムを並列に2台構成したときの稼働率は?
R = 1 − (1 − 0.9)² = 1 − 0.01 = 0.99
問題③:直列+並列の複合構成
A(0.9)と、B(0.8)C(0.8)の並列が直列に接続されている場合
B・C並列:R(BC) = 1 − (0.2 × 0.2) = 1 − 0.04 = 0.96
A直列(BC):R = 0.9 × 0.96 = 0.864
問題④:目標稼働率に必要なMTBFを求める
MTTR = 1時間で稼働率99%を達成するためのMTBFは?
0.99 = MTBF / (MTBF + 1)
0.99 × (MTBF + 1) = MTBF
0.99 × MTBF + 0.99 = MTBF
0.99 = MTBF × (1 − 0.99) = 0.01 × MTBF
MTBF = 0.99 / 0.01 = 99時間
よくある疑問——FAQ
まとめ——稼働率計算の学習ポイント
- 稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR):分子がMTBF(稼働)、分母が全体(稼働+修理)
- 直列:R = R₁ × R₂ × …(積。パーツ追加→必ず下がる)
- 並列:R = 1 − (1−R₁)(1−R₂)…(1 から全部故障の確率を引く)
- バスタブ曲線の3期:初期→偶発(最も長い)→摩耗
- フォールトトレランス vs フォールトアボイダンス:起きても動く vs そもそも起こさない
稼働率の計算はパターンが決まっているので、公式を正確に覚えれば確実に得点できます。「直列はかけ算、並列は1から引く」というキーフレーズとともに、複合問題も練習しておきましょう。









