U線形計画法とPERT/CPMは、運営管理の中でも「計算問題として出るかどうか」という点で受験生を悩ませる論点です。でも整理してみると、どちらも「限られた資源で最大の成果を出すための道具」という共通の思想があって、少し親近感が湧いてきました。
この記事でわかること
- 線形計画法(LP)のグラフ解法と最適解の求め方
- PERT/CPMのアローダイアグラム・クリティカルパス・余裕時間の計算
- 輸送問題の基本的な考え方
- 中小企業診断士試験での出題パターンと頻出論点
線形計画法(LP)とは何か
工場で製品Aと製品Bを生産しているとします。原材料も機械稼働時間も限りがある。そのなかで「利益を最大にするには、それぞれ何個作ればいいか?」という問いに答えるのが線形計画法(Linear Programming)です。
「線形」とは、目的関数も制約条件もすべて1次式(直線・平面)であるという意味。複雑な現実を簡略化しているとはいえ、製品ミックス問題・輸送問題・割当問題など、経営の場面で広く使われています。
Z = c₁x₁ + c₂x₂ + … + cₙxₙa₁₁x₁ + a₁₂x₂ ≤ b₁(資源量の上限)x₁ ≥ 0, x₂ ≥ 0(生産量はマイナスにならない)グラフ解法の4ステップ
2x₁ + x₂ ≤ 10 → 直線 2x₁ + x₂ = 10 を描く。重要定理:最適解は頂点に存在する
線形計画問題の最適解は、実行可能領域の頂点のうちのいずれかにある(端点定理)。これにより、無限の点を調べる代わりに有限個の頂点だけ調べればよい。試験では頂点の座標を求め、目的関数に代入する計算問題が頻出。
具体例で確認:製品ミックス問題
例題:利益を最大化せよ
製品X(利益300円/個)と製品Y(利益200円/個)を生産する。
原材料制約:2X + Y ≤ 10(単位:kg)
機械時間制約:X + 2Y ≤ 8(単位:h)
非負条件:X ≥ 0, Y ≥ 0
頂点を求めると:
- A点 (0, 0):Z = 0
- B点 (5, 0):Z = 1,500円
- C点 (4, 2):Z = 1,600円 ← 最大!(2式の交点)
- D点 (0, 4):Z = 800円
→ 製品Xを4個、製品Yを2個生産したとき、利益が最大(1,600円)になる。
PERT/CPM:プロジェクトのスケジュール管理
新製品の開発プロジェクトを想像してください。設計・試作・検査・量産準備…さまざまな作業が並行したり前後関係を持ったりしながら進みます。「このプロジェクト、最短でいつ完成できるか?」を計算するのがPERT(Program Evaluation and Review Technique)とCPM(Critical Path Method)です。
アローダイアグラムの読み方
PERT/CPMではアローダイアグラム(矢線図)を使います。丸(結合点・イベント)と矢印(作業・アクティビティ)で構成され、作業の前後関係を表します。



PERTの計算は「前向き計算(EST)→ 後ろ向き計算(LST)→ TF計算 → クリティカルパス特定」という順番が体に染み込むまで手を動かすのが近道でした。問題を見たら即座にアローダイアグラムを書く習慣をつけると、ずいぶん楽になります。
輸送問題とその他のOR手法
| OR手法 | 概要 | 主な適用場面 |
|---|---|---|
| 輸送問題 | 複数の供給地から複数の需要地へ、輸送費用を最小化する配送計画を求める | 物流センターから店舗への配送最適化 |
| 割当問題 | m人の作業者をm個のジョブに1対1で割り当て、総コスト最小化(ハンガリー法) | 担当者と案件のマッチング |
| 在庫モデル | EOQ(経済的発注量)で発注費用と保管費用の合計を最小化 | 仕入・在庫管理の最適化 |
| ゲーム理論 | 競合他社との戦略的相互作用を分析(ミニマックス戦略・ナッシュ均衡) | 価格設定・市場参入意思決定 |
| 待ち行列理論 | サービス窓口の混雑を確率モデルで分析し、最適な窓口数を決定 | 銀行窓口・コールセンター設計 |
コンビニのシフト管理で考えてみると
コンビニのアルバイトシフトを組むことを考えてみましょう。「1日3人のレジ担当と1人の品出し担当が必要」「Aさんは月・水・金のみ、Bさんは週3日まで」といった制約のなかで、人件費を最小にするシフトを組む—これがまさに線形計画問題です。
また、本部から各店舗への商品配送は輸送問題そのものです。配送センターの在庫量・各店舗の注文量・輸送コストが与えられたとき、どのルートでどれだけ運ぶかを最適化します。
年末年始の新店舗オープン準備スケジュールを管理するなら、アローダイアグラムとクリティカルパス。内装工事・備品搬入・スタッフ研修・開店申請—それぞれの依存関係を整理し、「何日前に何を完了すれば間に合うか」を把握するのがPERT/CPMの役割です。
試験での出題パターン
| 論点 | 出題傾向 | ポイント |
|---|---|---|
| 線形計画法(グラフ解法) | ★★★★☆ 毎年級 | 頂点座標の計算と目的関数代入。図を描いて等値線を動かすイメージを持つ |
| クリティカルパス計算 | ★★★★★ 最頻出 | アローダイアグラムを書いてEST・LST・TFを計算。CP上のTF=0を確認 |
| 余裕時間(TF・FF) | ★★★☆☆ | TFとFFの違い(FF ≤ TF)と計算式を正確に覚える |
| EOQ(経済的発注量) | ★★★☆☆ | 公式暗記+Dを年間需要量と発注量/回の混同に注意 |
| PERT・CPMの違い | ★★☆☆☆ | PERTは確率的(3点見積)・CPMは決定論的(1点)という区別 |
頻出ひっかけパターン
- 「最適解は必ず頂点にある」→ 正しい(凸多面体の端点定理)
- 「CPの作業の余裕時間はゼロ」→ 正しい(TF=0)
- 「プロジェクトの最短日数 = 最長経路の日数」→ 正しい(最短完了には最も長いパスを縮める必要がある)
- 「余裕時間のある作業はクリティカルパス上にない」→ 正しい(TF>0 ならCP外)
- 「FFはTFを超えることがある」→ 誤り(FF ≤ TF 常に成立)
まとめ
- 線形計画法:目的関数を制約条件下で最大化・最小化。グラフ解法では頂点を比較する
- 制約式の交点(頂点)の座標を連立方程式で求め、目的関数に代入して最大値を特定する
- PERT/CPM:アローダイアグラムでEST(前向き)→LST(後ろ向き)→TF計算→CP特定
- クリティカルパスはTF=0の作業を連ねた最長経路。プロジェクトの最短完了日数を決める
- EOQ = √(2DS/H) で発注費用と保管費用の合計を最小化する発注量を求める









