会社の設立手続きまとめ|発起設立・定款・登記の流れを図解で整理

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会社法の設立手続きは「何をどの順序でやるか」さえ覚えれば、選択肢の正誤がはっきり見える問題です。定款・払込・登記の3ステップを図で整理しながら、発起設立と募集設立の違いも確認していきます。

高頻度難易度 ★★☆
この記事でわかること

株式会社の設立手続き(発起設立・募集設立)の流れ、定款の記載事項の分類、資本金払込と登記のルール、設立に関する発起人の責任について整理します。

目次

会社設立の2つの方法

株式会社を設立する方法は2種類あります。設立時に発行する株式を誰が引き受けるかによって区別されます。

発起設立
  • 設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける
  • 手続きがシンプルで期間も短い
  • 中小企業の設立は事実上ほぼ発起設立
  • 設立時取締役等の選任は発起人の議決権の過半数
募集設立
  • 発起人が一部引き受け、残りを一般から募集
  • 創立総会の開催が必要(手続きが複雑)
  • 現在はほとんど使われない(上場前の大規模設立で稀に)
  • 設立時取締役等の選任は創立総会で決議
試験でのポイント

「発起設立」と「募集設立」の違いは、①株式を誰が引き受けるか、②設立時取締役の選任方法、③創立総会の要否 の3点で問われます。

発起設立の流れ

1
定款の作成・認証

発起人全員が署名または記名押印した定款を作成。株式会社は公証人の認証が必要(合同会社は不要)。電子定款も可。

2
株式の引受け・出資の履行

発起人が設立時発行株式の全部を引き受け、払込取扱機関(銀行等)に払い込む。現物出資も可能(検査役調査が原則必要)。

3
設立時役員の選任

発起人の議決権の過半数で、設立時取締役(・設立時監査役等)を選任。設立時取締役は就任後に会社・発起人・現物出資者の調査を行う。

4
設立登記

本店所在地を管轄する法務局に登記申請。登記をもって会社が成立(会社法49条)。登記日が会社の成立日。

重要:会社の成立タイミング

「定款作成時」でも「払込完了時」でもなく、設立登記の時点で株式会社が成立します。これは頻出の誤りポイントです。

定款の記載事項の分類

定款の記載事項は3種類に分類されます。特に「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」の区別が試験に出やすい部分です。

絶対的記載事項(必ず記載しなければ定款が無効)
  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名・名称と住所
  • 発行可能株式総数
種類 内容 記載しない場合
絶対的記載事項 目的・商号・本店所在地・出資財産の価額・発起人情報・発行可能株式総数 定款全体が無効になる
相対的記載事項 現物出資・財産引受け・発起人の報酬・設立費用(変態設立事項)など 記載しなくても定款は有効だが、記載がないとその事項の効力が認められない
任意的記載事項 株主総会の招集通知期間の短縮、取締役の員数など 記載しなくても有効。記載すれば定款変更手続きが必要になる
変態設立事項(相対的記載事項の重要例)

現物出資・財産引受け・発起人の報酬・設立費用の4つを「変態設立事項」といいます。これらは定款に記載しないと効力が認められません。現物出資と財産引受けは原則として検査役の調査が必要です。

資本金の払込みに関するルール

項目 内容
払込取扱機関 銀行等の金融機関が指定された払込取扱機関となる。払込証明書が交付される
最低資本金 会社法では最低資本金規制なし(1円でも設立可能)。ただし実務上は信用力から数十万円以上が多い
現物出資 金銭以外の財産で出資すること。検査役の調査が原則必要(500万円以下等の例外あり)
資本準備金への組入れ 払込金額の2分の1を超えない額は資本準備金に組入れ可能(会社計算規則)

設立に関する責任

発起人の責任

設立手続きに瑕疵があった場合、発起人は会社・第三者に対して損害賠償責任を負う。悪意・重過失がある場合は第三者への責任も生じる(会社法53条)

設立時取締役の責任

調査義務(現物出資・財産引受けの価額が不当でないかの確認)があり、懈怠した場合は損害賠償責任を負う

擬似発起人の責任

発起人でなくても、株式募集の広告等に氏名・商号を記載することを承諾した者は、発起人と同一の責任を負う(会社法103条4項)

合同会社(LLC)との比較

項目 株式会社 合同会社(LLC)
設立者 発起人(1名以上) 社員(1名以上)
定款認証 公証人の認証が必要 不要(費用節約になる)
出資者の責任 間接有限責任 間接有限責任
業務執行 取締役が執行(所有と経営の分離) 原則として社員全員(所有と経営の一致)
利益配当 出資比率に応じる 定款で自由に設定可能
設立費用 約20〜25万円(定款認証含む) 約6万円(定款認証なし)

過去問で確認する

H28年度 第11問(経営法務)

発起設立においては、設立時取締役の選任は( )の議決権の過半数をもって決定する。

答え:発起人
発起人の議決権の過半数で選任。1株1議決権が原則(引受株式数に応じる)。募集設立では創立総会の決議による。
R3年度 第9問(経営法務)

株式会社の設立に関する記述として、最も適切なものはどれか。(選択肢の一部)
ア. 発起設立においては、払込期日または払込期間の末日において、会社が成立する。

ア は不適切。
会社の成立は「設立の登記をした時」(会社法49条)。払込期日ではない。この誤りは頻出なので注意。
H25年度 第10問(経営法務)

定款の絶対的記載事項として誤っているものはどれか、という問題形式で問われやすい事項例:「設立時の取締役の氏名」

設立時取締役の氏名は絶対的記載事項ではない。
絶対的記載事項は「目的・商号・本店所在地・出資財産の価額・発起人情報・発行可能株式総数」の6つ。取締役は相対的記載事項でも任意的記載事項でもなく、定款外で選任する。

まとめ

整理ポイント
  • 設立方法は発起設立(発起人全員引受)と募集設立(一般募集あり)の2種類
  • 株式会社の定款は公証人の認証が必要(合同会社は不要)
  • 絶対的記載事項は6つ(目的・商号・本店・出資財産・発起人・発行可能株式総数)
  • 会社の成立は「設立登記の時点
  • 現物出資・財産引受けは変態設立事項で定款への記載と原則として検査役調査が必要
  • 最低資本金規制はない(1円設立が法律上は可能)
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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