労働者派遣法まとめ|派遣の種類・禁止業務・3年ルールを図解で整理

「派遣社員は誰に指示を受けるのか」「3年を超えて働けるのか」——労働者派遣法は、雇用主と指揮命令者が分離するという独特の仕組みから生まれるルールを定めています。経営法務の試験では、請負との違いや派遣期間の上限が繰り返し問われます。

目次

派遣・請負・出向の違い

項目 労働者派遣 請負 出向
労働契約の相手 派遣元(派遣会社) 請負会社 出向元(二重労働関係)
指揮命令者 派遣先 請負会社 出向先
賃金の支払者 派遣元 請負会社 出向元 or 出向先
発注者の指示 可(直接指揮命令) 不可(偽装請負に該当)
偽装請負に注意:形式上は「請負契約」でも、発注者(注文主)が作業者に直接指示を出している場合は「偽装請負」となり、実態は労働者派遣として扱われる。派遣の許可なく行えば違法となる。

労働者派遣事業の許可制(H27改正)

改正前(〜H27年)
  • 特定労働者派遣事業(届出制)
  • 一般労働者派遣事業(許可制)
  • 2種類の制度が併存
改正後(H27年〜現行)
  • すべて許可制に一本化
  • 派遣会社はすべて厚生労働大臣の許可が必要
  • キャリアアップ措置・雇用安定措置が義務化

派遣可能期間の上限(3年ルール)

2種類の3年上限(H27年改正)

① 事業所単位の期間制限:同一の派遣先事業所で受け入れできるのは原則3年まで。ただし過半数労組(または過半数代表者)の意見聴取により延長可。

② 個人単位の期間制限:同一の派遣労働者が同一の組織単位(課・グループ等)で働けるのは3年まで。組織単位が変われば継続可能。

3年上限の例外(期間制限なし):
・派遣元に無期雇用されている労働者
・60歳以上の派遣労働者
・有期プロジェクト業務(終了時期が明確)
・日数限定業務(週10日以内等)
・産前産後・育児・介護休業の代替業務

派遣禁止業務

派遣が禁止されている業務
  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 医療関連業務(一部例外あり)
  • 弁護士・社会保険労務士等の士業
派遣先の義務
  • 派遣労働者に対する均等・均衡待遇の確保
  • 福利厚生施設(食堂・休憩室等)の利用機会付与
  • 教育訓練の実施または機会付与
  • 派遣元への情報提供(待遇情報)

同一労働同一賃金(R2年4月施行)

均等・均衡方式(原則)
  • 派遣先の通常の労働者との間で「均等待遇・均衡待遇」を確保
  • 派遣先が変わるたびに賃金水準が変わりうる
  • 派遣先から派遣元への待遇情報提供が必要
労使協定方式(特例)
  • 派遣元と過半数労組(または代表者)が協定を締結
  • 一定の基準(同種業務の一般賃金水準以上)に基づき賃金を決定
  • 派遣先が変わっても賃金水準が安定しやすい

雇用安定措置・キャリアアップ措置

1
雇用安定措置(派遣元の義務)

同一の組織単位に継続して3年見込みの派遣労働者に対し、①派遣先への直接雇用依頼、②新たな派遣先の提供、③派遣元での無期雇用、④その他安定した雇用継続措置のいずれかを講じる義務(1年以上3年未満は努力義務)。

2
キャリアアップ措置(派遣元の義務)

すべての派遣労働者に対し、段階的・体系的な教育訓練を実施する義務。希望者にはキャリアコンサルティングを実施する義務もある。

過去問で確認する

H28年 第38問
経営法務派遣禁止業務

労働者派遣法において、労働者派遣事業を行うことができない業務として、最も適切なものはどれか。(建設業務・港湾運送業務・警備業務等の選択肢)

解答のポイント:建設業務・港湾運送業務・警備業務・医療関連業務・弁護士等の士業は派遣が禁止されている。特に「建設業務」と「港湾運送業務」は長年の慣行から禁止されており、繰り返し出題される。

R2年 第36問
経営法務3年ルール・個人単位

同一の派遣労働者を、派遣先の同一の組織単位の業務に継続して派遣できる期間の上限として、最も適切なものはどれか。

解答のポイント:個人単位の期間制限は3年。ただし組織単位(課・グループ等)が変われば同一の派遣先でも継続可能。なお、派遣元に無期雇用されている派遣労働者は期間制限の対象外となる。

R4年 第36問
経営法務偽装請負・指揮命令

いわゆる偽装請負について、その特徴として最も適切なものはどれか。

解答のポイント:偽装請負とは、形式上は請負契約を結びながら、発注者(注文主)が請負労働者に直接指揮命令を行う実態のこと。このような場合は実質的に労働者派遣とみなされる。許可なく行えば職業安定法・労働者派遣法違反となる。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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