U運営管理の過去問を解いていたとき、MTBFとMTTRの計算で手が止まりました。「稼働率を求めよ」という設問なのに、どちらをどう使えばよいのかがぼんやりしていて。そこから設備管理の全体像を整理し直したら、TPMや保全の分類ともつながってきて、一気にすっきりしてきました。
設備管理は、工場の生産設備をいかに効率よく保全・運用するかを扱う分野です。運営管理の試験では、保全の種類(予防・事後・改良・保全予防)、MTBF・MTTRの計算式、TPMの構造、設備総合効率(OEE)が繰り返し出題されています。
本記事では全体像を図解で整理し、計算の手順と過去問への対応方法をひとつずつ確認していきます。
設備管理の目的は一言で言えば、「必要なときに設備を使えるようにすること」です。設備が突然止まれば、生産計画が崩れ、コストと時間が失われます。そこで、事前に手を打つ保全活動と、万が一故障したときの迅速な対応が求められます。
(PM/BM/CM/MP)
の目標値
活動の数
保全の種類(予防保全・事後保全)
保全には大きく4つの種類があります。それぞれ「いつ」「どのように」設備に手を入れるかが異なります。試験では各分類の名称と特徴を問う選択肢が多く、まずここを正確に整理しておくことが重要です。
| 種類 | 英語略称 | タイミング | 内容・特徴 |
|---|---|---|---|
| 予防保全 | PM(Preventive Maintenance) | 故障前(定期) | 定期点検・部品交換により故障を未然に防ぐ。保全費は増えるが突発停止を抑えられる |
| 事後保全 | BM(Breakdown Maintenance) | 故障後 | 壊れてから修理する方法。保全コストは低いが、突発停止による損失が大きくなりやすい |
| 改良保全 | CM(Corrective Maintenance) | 随時 | 設備を改造・改良して、故障しにくく・保全しやすくする活動。信頼性・保全性を向上させる |
| 保全予防 | MP(Maintenance Prevention) | 設計時 | 新規設備の設計段階から「保全がいらない設備」を目指す。初期管理・MP設計ともいう |
予防保全と事後保全はトレードオフの関係にあります。保全費(定期点検コスト)を増やせば故障停止のリスクは下がり、逆に保全費を抑えると突発故障リスクが上がります。どちらをどこまで許容するかは、設備の重要度や修理コストに応じて判断します。



「改良保全」と「保全予防」はどちらも設備を良くする活動ですが、既存設備へのアプローチが改良保全で、新設備の設計段階からのアプローチが保全予防、と区別して覚えるとすっきりします。
MTBF・MTTRの計算
設備の信頼性と保全性を数値で評価する指標が MTBF と MTTR です。稼働率(アベイラビリティ)はこの2つから求めます。計算式の意味をしっかり押さえておくと、数値例が変わっても対応できます。
MTBF = 500 ÷ 5 = 100時間
MTTR = 50 ÷ 5 = 10時間
稼働率 = 90 ÷ (90 + 10) = 90%
試験では「MTBF が長いほど信頼性が高い」「MTTR が短いほど保全性が高い」という方向性の正誤がよく問われます。計算式の分子・分母を混同しないよう、式の意味から確認する習慣をつけておくと安心です。
TPM(全員参加の生産保全)
TPM(Total Productive Maintenance)は1971年に日本プラントメンテナンス協会が提唱した活動です。「保全部門だけが設備を管理する」のではなく、オペレーターを含む全員が参加して設備の効率を最大化するという考え方です。目標はロスゼロ・ゼロ不良・ゼロ災害の達成です。
TPMは8本柱と呼ばれる活動体系で構成されています。
試験でとくに問われる頻度が高いのが、自主保全の7ステップです。順番ごと覚えておくと選択肢の誤りに気づきやすくなります。
身近な場面で考えてみると
マイカーのメンテナンスを例に、4つの保全を当てはめてみると、抽象的な分類がぐっと身近になります。
日常のメンテナンスを「いつ対処するか」「設備をどう変えるか」という視点で見ると、4分類のどれにあたるかが見えてきます。試験の問題文でも、タイミングと目的に注目すると判断しやすくなります。



マイカーの例で整理したら、「改良保全と保全予防はどちらも設備を良くするのでは?」と混乱しかけていた部分が解消されました。既存設備への改良か、最初から作り込むかの違いなのですね。
設備総合効率(OEE)
設備がどれだけ有効に使われているかを示す総合指標が OEE(Overall Equipment Effectiveness)です。3つの効率を掛け合わせて求めます。
設備が実際に動いていた時間の割合
本来の能力に対してどれだけ生産できたか
生産したうち不良なく仕上がった割合
世界標準の目標値は OEE 85% 以上とされています。3指標はすべて掛け算で結びついているため、いずれかひとつが低下すると OEE 全体に大きく影響します。どこにボトルネックがあるかを特定する診断指標としても使われます。
過去問で確認する
- ア 75%
- イ 80%
- ウ 85%
- エ 90%
総稼働時間100h、故障回数4回 → MTBF = 100 ÷ 4 = 25h
総修復時間20h、故障回数4回 → MTTR = 20 ÷ 4 = 5h
稼働率 = 25 ÷ (25 + 5) = 25 ÷ 30 ≒ 83.3%…ではなく、別の解法で確認を。
実際の稼働時間 = 100 − 20 = 80h。稼働率 = 80 ÷ 100 = 80%(負荷時間ベースの計算)。
問題文の「稼働時間」の定義に注意が必要です。
- ア 予防保全とは、故障が発生する前に定期的に点検・整備を行うことで、突発的な停止を防ぐ活動である
- イ 事後保全は、重要度の低い設備や、故障しても影響が小さい設備に対して有効な手法である
- ウ 改良保全とは、故障が発生した後、設備を元の状態に戻す修理作業のことである
- エ 保全予防とは、新設備の設計段階から保全の必要性を最小化する活動のことである
改良保全(CM)は、設備を改造・改良して故障しにくくする活動です。「元に戻す」だけなら事後保全に相当します。エは保全予防の正しい説明です。
- ア 自主保全は専門の保全技術者が主体となって行う活動である
- イ 自主保全の第1ステップは「総点検」であり、設備の全機能を把握することから始める
- ウ 自主保全の第1ステップは「初期清掃」であり、清掃しながら異常を発見することを目的とする
- エ 自主保全は7ステップで構成されており、最終ステップは「標準化」である
ア:自主保全はオペレーター(作業者)自身が主体です。
イ:第1ステップは初期清掃(第4ステップが総点検)。
エ:最終ステップは「自主管理」(第7ステップ)であり、標準化は第6ステップです。
設備管理で私が迷いやすかった点を整理しておきます。
- MTBFとMTTRの方向性:MTBFは「大きいほど良い(長く壊れない)」、MTTRは「小さいほど良い(早く直る)」。この向きを先に覚えると計算結果の妥当性を判断しやすくなります。
- 改良保全vs保全予防:どちらも設備を改善する点は同じ。既存設備への対応が改良保全、新設備の設計段階からのアプローチが保全予防、とタイミングで区別します。
- 自主保全のステップ順:初期清掃→発生源対策→基準作成→総点検→自主点検→標準化→自主管理。「初清掃・発生源・基準・総点検・自主点検・標準・自主」とリズムで覚えると入りやすかったです。
- 保全4分類(PM・BM・CM・MP)のタイミングと特徴を区別できる
- MTBF・MTTRの計算式と、値の大小が何を意味するかを押さえている
- 稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) の式を使って数値計算できる
- TPMの8本柱と自主保全7ステップの順番を説明できる
- OEE = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率 の各要素を理解している









