モチベーション理論①まとめ|マズロー・ハーズバーグ・マグレガーを図解で整理

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給料を上げ続けても、満足が長続きしないという研究結果があります。最初に読んだとき、少し驚きました。でもよく考えると、確かに「不満がなくなること」と「やる気が湧くこと」は別の話なのかもしれない、と。ハーズバーグのこの視点を軸に、マズローやマグレガーも含めて内容理論をまとめてみました。

モチベーション理論は大きく「内容理論」と「プロセス理論」に分かれます。内容理論は「何がやる気の源になるか」を問い、プロセス理論は「どのようにしてやる気が生まれるか」を問います。この記事ではまず内容理論を中心に整理します。プロセス理論(期待理論・公平理論など)は別記事で取り上げています。

目次

内容理論とプロセス理論の違い

内容理論
何がやる気の源か
マズロー欲求5段階説
ハーズバーグ2要因理論
マグレガーX理論・Y理論
アルダファーERG理論
マクレランド達成動機理論
プロセス理論
どのようにやる気が生まれるか
ブルーム期待理論
アダムス公平理論
ロック目標設定理論
プロセス理論は別記事(motivation-process)で詳しく扱っています。この記事は内容理論5つを中心に整理します。

内容理論は「どんな欲求・要因が人を動かすか」という問いに答えようとします。マズロー・ハーズバーグ・マグレガーの3名が1次試験でとくによく出題されるため、まずこの3つをしっかり押さえておくと安心です。

マズローの欲求5段階説

アブラハム・マズローは、人間の欲求を5つの階層に整理しました。下位の欲求が満たされると、より上位の欲求を求めるようになるという考え方です。

第5段階 自己実現の欲求 潜在能力を最大限に発揮したい
第4段階 承認(尊重)の欲求 認められたい・尊重されたい
第3段階 社会的欲求(所属・愛情) 仲間とつながりたい・愛されたい
第2段階 安全・安定の欲求 身の安全・雇用の安定・健康
第1段階(最も基本) 生理的欲求 食事・睡眠・体を休めること

下位の欲求が満たされるほど、上位の欲求が行動の動機になっていく

第1〜2段階は「低次欲求」(外的充足)、第3〜5段階は「高次欲求」(内的充足)とも呼ばれます。試験では、どの段階がどの欲求にあたるかを正確に対応させる問題が出やすいので、5段階の順番と名称はしっかり記憶しておく必要があります。

批判点・補足
マズロー理論は直感的にわかりやすい半面、「欲求が必ず下から順番に満たされるわけではない」「人によって優先順位が異なる」という批判があります。後述のアルダファーのERG理論は、この点を修正した発展版です。試験では批判点として問われることもあります。
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自分の受験勉強に当てはめてみると、第1・2段階(生理的・安全)はクリアしている。第3段階の「仲間とつながりたい」は、勉強仲間ができたことで満たされた気がします。今は第4段階の「認められたい」が動機になっているのかもしれません。理論の話が急に身近に感じられました。

ハーズバーグの2要因理論

フレデリック・ハーズバーグは、「仕事の満足と不満足は、まったく別の要因によって引き起こされる」と主張しました。この2要因理論は、管理者が職場改善を考えるうえで今でも参照されています。

ハーズバーグ理論の核心
「満足」の反対は「不満足」ではない
「満足がない状態(ゼロ)」である
衛生要因はゼロ(不満なし)にするだけ。満足はゼロより上にならない。
「満足を生み出す」には動機づけ要因が必要。
衛生要因(Hygiene)
不満足を取り除くが、満足は生まない
  • 給与・賞与
  • 会社の方針・管理体制
  • 上司との関係
  • 労働条件・作業環境
  • 雇用の安定
整えても「満足」は増えない。整えないと「不満」が生まれる。維持すべき最低条件
動機づけ要因(Motivator)
満足を高め、やる気を生み出す
  • 達成感・成し遂げた実感
  • 承認・認められること
  • 仕事そのものの魅力・面白さ
  • 責任を与えられること
  • 昇進・成長の機会
これが満たされると積極的にやる気と満足感が生まれる。不在でも不満にはなりにくい。

マズロー理論との対応関係も試験で問われます。衛生要因は低次欲求(第1〜3段階)に、動機づけ要因は高次欲求(第4〜5段階)に対応するとされています。

マズロー(欲求) ハーズバーグ(要因)
第5段階:自己実現動機づけ要因(仕事の魅力・成長)
第4段階:承認動機づけ要因(達成感・承認)
第3段階:社会的欲求衛生要因(人間関係・所属感)
第2段階:安全・安定衛生要因(労働条件・雇用保障)
第1段階:生理的衛生要因(給与)

マグレガーのX理論・Y理論

ダグラス・マグレガーは、人間の労働意欲についての仮定を2種類に分類しました。どちらの仮定を持つかによって、マネジメントスタイルが大きく変わるという考え方です。

X理論
「人は怠けるもの」前提
  • 人は生来怠け者で、できれば働きたくない
  • 命令・監視・統制で管理する必要がある
  • 責任を取ることを避け、指示を待つ
  • アメとムチによるマネジメントが有効
管理型・統制型のマネジメント
Y理論
「人は主体的に働けるもの」前提
  • 仕事は本来自然なもので、人は進んで働く
  • 目標に向かって自己管理・自己統制できる
  • 責任を取ろうとし、創意工夫を発揮する
  • 参加・権限委譲によるマネジメントが有効
自律型・参加型のマネジメント
どちらが正しいか?
マグレガー自身はY理論を推奨していましたが、実際の職場では状況によって異なります。新入社員や習熟度が低い段階ではX理論寄りの管理が適切な場面もあり、一概に「Y理論が正解」とは言えません。試験でも「状況に応じて使い分ける」という視点が問われることがあります。

その他の内容理論

マズロー理論を発展・修正した2つの理論も、試験で出題実績があります。簡潔に整理しておきます。

アルダファー
ERG理論
マズローの5段階を3つに集約。Existence(生存)・Relatedness(関係)・Growth(成長)の3欲求。

マズローと異なり「複数の欲求が同時に存在できる」「上位欲求が満たされないとき、下位欲求がより強くなる(欲求退行)」点が特徴。
欲求退行の概念がマズローにはない点に注意。
マクレランド
達成動機理論
人の動機を達成動機権力動機親和動機の3つで説明。企業家・リーダーは達成動機が高い傾向があるとした。

達成動機の高い人ほど、「難しすぎず簡単すぎない、適度な困難」な課題を好む傾向がある。
起業家精神・リーダーシップ論との接続で問われやすい。

身近な場面で考えてみると

日常で感じたこと
副業Webライターとして案件をこなしていたとき、報酬が上がっても「もっと書きたい」という気持ちに変化がなかった体験

以前、副業でWebライターをしていた時期があります。最初のうちは文字単価を上げることがそのまま「もっと頑張ろう」という気持ちにつながっていました。でもある水準を超えたあたりから、報酬が上がっても「だからといって特別やる気が増すわけではない」と感じるようになりました。

ハーズバーグの言葉を借りれば、報酬は衛生要因です。不満を取り除くことはできても、それ以上の満足は生まれない。実際に動かされていたのは、「この記事を読んだ人の役に立てたか」「難しいテーマを上手くまとめられたか」という達成感の方でした。

衛生要因として機能したもの
文字単価・納品数・クライアントとの関係。一定水準を超えると「もっとやる気が出る」にはつながらなかった。
動機づけ要因として機能したもの
記事の反響・編集者からの「助かりました」の一言・難題をまとめたときの達成感。これが継続のエネルギーになっていた。

過去問で確認する

企業経営理論 H27年度 第21問 イメージ
ハーズバーグの2要因理論に関する説明として、最も適切なものはどれか。
  • ア 給与・賞与の引き上げは、従業員の積極的な満足感を高める動機づけ要因である。
  • イ 衛生要因は不満足を取り除くことはできるが、それ自体が積極的な満足や動機づけにはつながらない。
  • ウ 動機づけ要因が欠如すると、従業員に強い不満足が生まれる。
  • エ マズロー理論の高次欲求は、ハーズバーグ理論の衛生要因に対応する。
解答・解説
正解:イ。衛生要因(給与・労働条件など)は不満足を防ぐことはできますが、積極的な満足は生み出しません。アは誤りで、給与は衛生要因。ウは誤りで、動機づけ要因が欠如しても強い不満足にはなりにくいとされます。エは逆で、高次欲求は動機づけ要因に対応します。
企業経営理論 R4年度 第20問 イメージ
マズローの欲求5段階説とアルダファーのERG理論を比較したとき、ERG理論の特徴として正しいものはどれか。
  • ア 欲求は必ず低次から高次へと順番に充足される。
  • イ 欲求は5段階に明確に分類される。
  • ウ 上位の欲求が満たされないとき、下位の欲求への欲求退行が起こる可能性がある。
  • エ 生理的欲求と安全欲求は別々に扱われる。
解答・解説
正解:ウ。ERG理論ではマズローと異なり「欲求退行」の概念が含まれます。成長欲求が満たされないとき、関係欲求をより強く求めるようになることがあるとされます。アはマズロー理論の考え方。ERGでは複数の欲求が同時に存在できます。

まとめ

  • 内容理論は「何がやる気の源か」を問う。マズロー・ハーズバーグ・マグレガー・アルダファー・マクレランドが代表的。
  • マズローの5段階は順番と名称を正確に。下位→上位の順に充足される。批判点(ERGとの差異)も押さえる。
  • ハーズバーグの衛生要因は「不満をゼロにする」だけ。満足を生み出すのは動機づけ要因。「満足の反対はゼロ」が核心。
  • マグレガーはX理論(管理型)とY理論(自律型)を提示。どちらが正しいかは状況次第。
  • ERG理論は欲求退行の概念を持つ点でマズローと異なる。マクレランドは達成動機・権力動機・親和動機の3分類。
U のメモ
ハーズバーグを学んで以来、「この不満を取り除けば人は動くはずだ」という発想が安易だと感じるようになりました。衛生要因を整えることは大切ですが、それはあくまでスタートライン。本当にやる気が生まれる仕組みは別のところにある、という視点は、試験勉強だけでなく日常でも使える考え方だと思っています。プロセス理論(期待理論など)と合わせて読むと、より立体的に理解できます。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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