U給料を上げ続けても、満足が長続きしないという研究結果があります。最初に読んだとき、少し驚きました。でもよく考えると、確かに「不満がなくなること」と「やる気が湧くこと」は別の話なのかもしれない、と。ハーズバーグのこの視点を軸に、マズローやマグレガーも含めて内容理論をまとめてみました。
モチベーション理論は大きく「内容理論」と「プロセス理論」に分かれます。内容理論は「何がやる気の源になるか」を問い、プロセス理論は「どのようにしてやる気が生まれるか」を問います。この記事ではまず内容理論を中心に整理します。プロセス理論(期待理論・公平理論など)は別記事で取り上げています。
内容理論とプロセス理論の違い
何がやる気の源か
どのようにやる気が生まれるか
内容理論は「どんな欲求・要因が人を動かすか」という問いに答えようとします。マズロー・ハーズバーグ・マグレガーの3名が1次試験でとくによく出題されるため、まずこの3つをしっかり押さえておくと安心です。
マズローの欲求5段階説
アブラハム・マズローは、人間の欲求を5つの階層に整理しました。下位の欲求が満たされると、より上位の欲求を求めるようになるという考え方です。
下位の欲求が満たされるほど、上位の欲求が行動の動機になっていく
第1〜2段階は「低次欲求」(外的充足)、第3〜5段階は「高次欲求」(内的充足)とも呼ばれます。試験では、どの段階がどの欲求にあたるかを正確に対応させる問題が出やすいので、5段階の順番と名称はしっかり記憶しておく必要があります。



自分の受験勉強に当てはめてみると、第1・2段階(生理的・安全)はクリアしている。第3段階の「仲間とつながりたい」は、勉強仲間ができたことで満たされた気がします。今は第4段階の「認められたい」が動機になっているのかもしれません。理論の話が急に身近に感じられました。
ハーズバーグの2要因理論
フレデリック・ハーズバーグは、「仕事の満足と不満足は、まったく別の要因によって引き起こされる」と主張しました。この2要因理論は、管理者が職場改善を考えるうえで今でも参照されています。
「満足を生み出す」には動機づけ要因が必要。
- 給与・賞与
- 会社の方針・管理体制
- 上司との関係
- 労働条件・作業環境
- 雇用の安定
- 達成感・成し遂げた実感
- 承認・認められること
- 仕事そのものの魅力・面白さ
- 責任を与えられること
- 昇進・成長の機会
マズロー理論との対応関係も試験で問われます。衛生要因は低次欲求(第1〜3段階)に、動機づけ要因は高次欲求(第4〜5段階)に対応するとされています。
| マズロー(欲求) | ハーズバーグ(要因) |
|---|---|
| 第5段階:自己実現 | 動機づけ要因(仕事の魅力・成長) |
| 第4段階:承認 | 動機づけ要因(達成感・承認) |
| 第3段階:社会的欲求 | 衛生要因(人間関係・所属感) |
| 第2段階:安全・安定 | 衛生要因(労働条件・雇用保障) |
| 第1段階:生理的 | 衛生要因(給与) |
マグレガーのX理論・Y理論
ダグラス・マグレガーは、人間の労働意欲についての仮定を2種類に分類しました。どちらの仮定を持つかによって、マネジメントスタイルが大きく変わるという考え方です。
- 人は生来怠け者で、できれば働きたくない
- 命令・監視・統制で管理する必要がある
- 責任を取ることを避け、指示を待つ
- アメとムチによるマネジメントが有効
- 仕事は本来自然なもので、人は進んで働く
- 目標に向かって自己管理・自己統制できる
- 責任を取ろうとし、創意工夫を発揮する
- 参加・権限委譲によるマネジメントが有効
その他の内容理論
マズロー理論を発展・修正した2つの理論も、試験で出題実績があります。簡潔に整理しておきます。
マズローと異なり「複数の欲求が同時に存在できる」「上位欲求が満たされないとき、下位欲求がより強くなる(欲求退行)」点が特徴。
達成動機の高い人ほど、「難しすぎず簡単すぎない、適度な困難」な課題を好む傾向がある。
身近な場面で考えてみると
以前、副業でWebライターをしていた時期があります。最初のうちは文字単価を上げることがそのまま「もっと頑張ろう」という気持ちにつながっていました。でもある水準を超えたあたりから、報酬が上がっても「だからといって特別やる気が増すわけではない」と感じるようになりました。
ハーズバーグの言葉を借りれば、報酬は衛生要因です。不満を取り除くことはできても、それ以上の満足は生まれない。実際に動かされていたのは、「この記事を読んだ人の役に立てたか」「難しいテーマを上手くまとめられたか」という達成感の方でした。
過去問で確認する
- ア 給与・賞与の引き上げは、従業員の積極的な満足感を高める動機づけ要因である。
- イ 衛生要因は不満足を取り除くことはできるが、それ自体が積極的な満足や動機づけにはつながらない。
- ウ 動機づけ要因が欠如すると、従業員に強い不満足が生まれる。
- エ マズロー理論の高次欲求は、ハーズバーグ理論の衛生要因に対応する。
- ア 欲求は必ず低次から高次へと順番に充足される。
- イ 欲求は5段階に明確に分類される。
- ウ 上位の欲求が満たされないとき、下位の欲求への欲求退行が起こる可能性がある。
- エ 生理的欲求と安全欲求は別々に扱われる。
まとめ
- 内容理論は「何がやる気の源か」を問う。マズロー・ハーズバーグ・マグレガー・アルダファー・マクレランドが代表的。
- マズローの5段階は順番と名称を正確に。下位→上位の順に充足される。批判点(ERGとの差異)も押さえる。
- ハーズバーグの衛生要因は「不満をゼロにする」だけ。満足を生み出すのは動機づけ要因。「満足の反対はゼロ」が核心。
- マグレガーはX理論(管理型)とY理論(自律型)を提示。どちらが正しいかは状況次第。
- ERG理論は欲求退行の概念を持つ点でマズローと異なる。マクレランドは達成動機・権力動機・親和動機の3分類。









