多角化戦略 | 中小企業診断士1次試験 企業経営理論

U

過去問を解いていて「関連多角化と非関連多角化の違いは?」という問題で手が止まったことがあります。コンビニが銀行ATMを置くのはどっち?ホンダが芝刈り機を売るのはどっち?具体例で一緒に整理してみます。

企業が成長するルートには大きく4つあります。アンゾフ(H.I. Ansoff)の「製品・市場マトリックス」は、 「どの製品」で「どの市場」を攻めるかを整理した、戦略論の出発点となるフレームワークです。

目次

アンゾフのマトリックス — 成長の4つの方向

既存製品
新製品
既存市場
市場浸透
Market Penetration
既存製品で既存市場のシェアを拡大
例:価格引下げ・販促強化・リピート促進
製品開発
Product Development
新製品を既存市場へ投入
例:スマホメーカーが新モデル発売
新市場
市場開拓
Market Development
既存製品を新しい市場・地域へ展開
例:国内製品を海外展開・新セグメント開拓
多角化
Diversification
新製品で新市場へ進出(最もリスク高)
例:製造業が飲食事業へ参入
Uのメモ
リスクは「市場浸透 < 製品開発 = 市場開拓 < 多角化」の順に高くなります。
試験では「最もリスクが高い成長戦略は?」に対して「多角化」が正解となることが多いです。

多角化の2種類 — 関連 vs 非関連

関連多角化
現在の事業と技術・ノウハウ・顧客が重なる分野へ進出
既存資源を活かせるため比較的リスクが低い
範囲の経済(シナジー)が働きやすい
例:ソニーが音楽→映画→ゲームへ展開
例:ホンダが自動車→オートバイ→芝刈り機(エンジン技術共有)
例:コンビニが宅配便受付・ATM設置
非関連多角化
現在の事業と関連性の薄い分野へ進出
リスク分散(ポートフォリオ効果)が主な目的
シナジーが働きにくいため難度が高い
例:鉄道会社が不動産・百貨店・ホテルへ(異業種)
例:商社が農業・IT・エネルギーへ
財務的安定を目的とした「コングロマリット」型

シナジー効果と範囲の経済

範囲の経済(Economies of Scope)
複数事業を1社で手がけることで、それぞれ別々の企業が行うよりも低コストで生産できる効果。
例:製品Aと製品Bを同じ工場・設備・スタッフで生産 → コスト削減
規模の経済(同一製品の大量生産)とは別の概念
シナジー効果(Synergy)
事業間で経営資源・ブランド・顧客・技術を共有することで「1+1>2」の相乗効果が生まれる現象。
例:販売シナジー(同じ営業チャネルで複数製品を販売)
生産シナジー・投資シナジー・管理シナジーの4種類がある
コア・コンピタンス
競合他社が容易に模倣できない、企業独自の中核能力。多角化の方向性を決める基軸になる。
例:ホンダ=エンジン技術をコアに自動車・バイク・発電機に展開
ヤマハ=「音」の技術でピアノ→バイク(ヤマハ発動機は別会社)

垂直統合・水平統合との違い

統合・多角化の種類 内容 具体例 主なメリット
垂直統合(前方) 川下(販売・流通)に進出 メーカーが直営店を展開 顧客接点確保・マージン内製化
垂直統合(後方) 川上(調達・製造)に進出 小売業が自社工場・農場を持つ 原材料コスト安定・品質管理
水平統合 同業・同一バリューチェーン段階へ 競合他社の買収・統合 市場シェア拡大・スケールメリット
関連多角化 隣接する技術・市場へ ホンダがエンジン技術で複数製品 範囲の経済・シナジー
非関連多角化 異なる産業へ 鉄道→百貨店→ホテル リスク分散・安定収益確保

多角化のリスクと「選択と集中」との対比

多角化はすべての場合に有効ではありません。「選択と集中」という逆の考え方と対比することで、試験問題を正確に判断できます。

戦略 アプローチ 適した状況 リスク
多角化 複数事業へ分散投資 主力事業の成熟・リスク分散が必要な場合 経営資源分散・管理コスト増・シナジー不発
選択と集中 強みのある事業に経営資源を集中 競争優位が明確な分野がある場合 一事業に依存・市場変動リスク集中

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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