独占禁止法——私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法を図解で整理 | 中小企業診断士1次試験 経営法務

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今回は経営法務の「antimonopoly act basics」について整理してみます。試験対策として重要な論点をビジュアルでまとめました。

目次

独占禁止法とは——市場の自由競争を守るルール

「価格カルテル」「談合」という言葉はニュースでよく目にします。これらを規制しているのが独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)です。

独占禁止法の目的は、「公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」です。

3
つの主要規制
私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法
公取委
が執行
公正取引委員会が調査・排除措置・課徴金を担当

3つの主要規制の全体像

規制類型内容典型例
私的独占他の事業者の事業活動を排除・支配し、競争を実質的に制限すること不当廉売で競合を排除/抱き合わせ販売
不当な取引制限(カルテル・談合)事業者が共同して競争を実質的に制限すること価格カルテル・入札談合・生産量協定
不公正な取引方法公正な競争を阻害するおそれのある行為再販売価格維持・優越的地位の濫用・差別対価

診断士試験では「不当な取引制限=カルテル・談合」「不公正な取引方法=優越的地位の濫用など」という整理が最頻出です。

不当な取引制限——カルテルと談合

不当な取引制限は、複数の事業者が共同して競争を制限する行為です。「意思の連絡(合意)」があれば成立し、明示的な契約は不要です。

価格カルテル
競合他社と価格を事前に取り決める
「来月から10%値上げしよう」と合意
課徴金:売上額×10%(中小は4%)
入札談合
公共工事等の入札で落札者を事前調整
「今回はA社が取る番」のローテーション
課徴金:契約額×10%

リニエンシー(課徴金減免)制度:調査開始前に自己申告すれば課徴金が減免される(1位申請者は全額免除)。

優越的地位の濫用——中小企業に最も身近な問題

「大手取引先から一方的にコスト削減を求められた」「断れない立場を利用して無理な要求をされた」。これが優越的地位の濫用です。

取引先に対して「優越した地位」にある事業者が、その地位を利用して不当な不利益を与える行為が禁止されます。

禁止行為具体例
購入強制「自社製品を買わないと取引しない」
役務の強制「棚卸し・清掃を無償でやれ」
経済上の利益の提供要請「リベートを出せ」「協賛金を払え」
不当な返品「売れ残り商品を全部引き取れ」
不当な値引き要請「来月から単価を20%下げろ」

下請法との関係:下請代金法は特定の親子会社間の取引に特化した規制で、独禁法の優越的地位の濫用より要件が具体的です。両法が重なって適用されることもあります。

企業結合規制——M&Aへの審査

合併・株式取得・分割などの企業結合が、競争を実質的に制限するおそれがある場合は公正取引委員会に事前届出が必要です。

01
届出義務の発生
一定規模以上の合併・株式取得(国内売上高合計200億円超など)は事前届出が義務。
02
審査期間(30日間)
届出受理後30日間(延長あり)は原則として企業結合を実施できない待機期間。
03
審査基準:HHI
ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)で市場集中度を測り、独占的支配が生じるか審査。
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独占禁止法でよく迷うのが「私的独占」と「不当な取引制限」の違いです。私的独占は1社が他者を排除・支配する、不当な取引制限は複数社が共同して制限するという点で覚えると整理しやすいです。優越的地位の濫用は中小企業診断士として実務でも関わる可能性が高く、下請法との違いも含めてしっかり押さえておきたいです。

まとめ

  • 独占禁止法とは——市場の自由競争を守るルール
  • 3つの主要規制の全体像
  • 不当な取引制限——カルテルと談合
  • 優越的地位の濫用——中小企業に最も身近な問題

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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