多角化戦略・アンゾフマトリックス|成長戦略の4象限と多角化の種類を図解で整理

U

「多角化」という言葉は知っていましたが、診断士の勉強で「なぜ多角化するのか」「どんな種類があるのか」をきちんと整理してみると、企業の成長戦略の全体像が一気に見えてきました。アンゾフマトリックスは「既存・新規」を縦横に組み合わせるだけのシンプルな図なのに、戦略を考えるときに本当に使えます。

高頻度難易度 ★★☆
目次

アンゾフの成長マトリックス

イゴール・アンゾフが提唱した成長マトリックスは、「市場(顧客)」と「製品」をそれぞれ「既存・新規」で分類した4象限で、企業の成長戦略の方向性を整理するフレームワークです。

既存製品
新規製品
既存市場
① 市場浸透戦略

既存市場に既存製品でさらに深く浸透。販促強化・価格引き下げ・シェア拡大

リスク:最小
② 製品開発戦略

既存顧客に新製品を投入。既存の顧客関係を活用してクロスセル・アップセル

リスク:中
新規市場
③ 市場開拓戦略

新しい市場(地域・顧客層)に既存製品で参入。海外展開・新チャネル開拓

リスク:中
④ 多角化戦略

新市場×新製品。既存の強みが活用しにくく最もリスクが高いが、成長機会も大きい

リスク:最大
試験のポイント:4つの戦略のうち多角化だけが「新市場×新製品」の組み合わせ。残りの3つは既存の市場か製品のどちらかを活用する。リスクは「既存要素が少ないほど高い」

多角化の3種類

水平型
Horizontal Diversification

同じ顧客層に対して関連する新製品・新サービスを提供する多角化

  • 例:自動車メーカーが二輪車に参入
  • 既存顧客との関係を活用できる
  • 販売・流通チャネルを共有しやすい
垂直型
Vertical Integration

自社のバリューチェーンの上流(川上)または下流(川下)に展開する多角化

  • 例:製造業が小売業に参入(川下統合)
  • 例:部品メーカーが原材料調達を内製化(川上統合)
  • 取引コストの削減・品質管理に強み
集成型(コングロマリット型)
Conglomerate Diversification

全く異なる業種・市場へ参入する多角化。既存事業との関連が薄い

  • 例:繊維メーカーが不動産・金融へ参入
  • リスク分散・成長機会の追求が目的
  • シナジーが生まれにくく管理が複雑

多角化の目的と理由

目的内容
リスク分散特定事業への依存を減らし、景気変動や市場縮小のリスクをヘッジする
余剰資源の活用ヒト・モノ・カネ・情報の余剰資源を新事業に投入して収益化する
シナジー効果複数事業の組み合わせで単独以上の価値を生む(コスト削減・売上向上)
成長市場への参入既存市場が成熟・縮小している場合に成長市場へ移行する
競争圧力の回避激しい競争環境から離れ、新たな市場で競争優位を構築する

シナジー効果の種類

販売シナジー:共通の販売チャネル・ブランド・顧客基盤を活用 → 販売コスト削減
生産シナジー:共通の設備・技術・仕入れ先を活用 → 製造コスト削減
投資シナジー:共通の研究開発・設備投資を複数事業で分担 → 投資効率向上
経営シナジー:経営管理のノウハウ・ブランドを活用 → 管理コスト削減

多角化の落とし穴(コングロマリット・ディスカウント)

多角化が過度に進み関連性が薄い事業が増えると、市場から「コングロマリット・ディスカウント」(各事業を単独評価した合計より企業価値が低く評価される現象)が生じることがあります。事業ポートフォリオの整理(選択と集中)が重要です。

過去問で確認する

  • アンゾフの成長マトリックスにおいて、既存市場に新製品で参入する戦略はどれか。ア)市場浸透 イ)多角化 ウ)製品開発 エ)市場開拓正解:ウ
  • 多角化戦略の種類のうち、バリューチェーンの川上に展開する多角化の名称として正しいものはどれか。ア)水平型多角化 イ)垂直型多角化(川上統合) ウ)コングロマリット型多角化 エ)集成型多角化正解:イ
  • シナジー効果について、販売シナジーと生産シナジーの違いを具体例を挙げて説明せよ。H28年度 類題

まとめ

アンゾフマトリックス:市場×製品の既存/新規で4象限。多角化のみが新×新でリスク最大
多角化の3種類:水平型(同じ顧客層)・垂直型(川上/川下統合)・集成型(全く異業種)
多角化の目的:リスク分散・余剰資源活用・シナジー・成長市場参入
注意点:関連性が薄い多角化はシナジーが生まれず、コングロマリット・ディスカウントのリスクがある

関連記事:ポーター競争戦略 PPM・BCGマトリックス M&A・アライアンス ドメイン定義

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

目次