U「従業員が事故を起こしたら会社も責任を負うの?」という問いは、企業経営に直結する重要な論点です。不法行為責任は契約がない相手方との間でも生じる損害賠償の根拠になります。民法709条を軸に、使用者責任・共同不法行為・特殊不法行為を整理してみました。
この記事でわかること
- 不法行為の成立要件(民法709条)と効果
- 使用者責任(715条)——従業員の不法行為と会社の責任
- 共同不法行為(719条)の連帯責任
- 工作物責任(717条)・動物占有者責任(718条)
- 過失相殺・損益相殺・消滅時効
目次
不法行為の成立要件(民法709条)
709条の4要件(すべて満たす必要がある)
① 故意または過失:加害者に意図的行為(故意)または注意義務違反(過失)があること② 権利・利益の侵害:他者の権利または法律上保護された利益を侵害したこと
③ 損害の発生:財産的損害・精神的損害(慰謝料)が生じていること
④ 因果関係:行為と損害との間に相当因果関係があること
効果:被害者は加害者に対して損害賠償請求ができる(金銭賠償が原則)
特殊不法行為——使用者責任・工作物責任
| 類型 | 条文 | 内容 | 免責の可否 |
|---|---|---|---|
| 使用者責任 | 715条 | 被用者(従業員等)が事業の執行について第三者に加えた損害を、使用者(会社)が連帯して賠償する責任 | 選任・監督に過失がなかったことを証明すれば免責(ただし実務上ほぼ認められない) |
| 共同不法行為 | 719条 | 数人が共同して他人に損害を与えた場合、各自が連帯して賠償責任を負う | 免責不可(連帯責任) |
| 工作物責任 | 717条 | 土地の工作物(建物・塀等)の設置・保存の瑕疵によって損害が生じた場合、占有者・所有者が責任を負う | 占有者は無過失の場合に所有者へ責任転嫁可。所有者は無過失でも責任あり(無過失責任) |
| 動物占有者責任 | 718条 | 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う | 相当の注意をしたことを証明すれば免責 |
Uのメモ
学習メモ
- 709条(一般不法行為):故意・過失+権利侵害+損害+因果関係の4要件
- 使用者責任(715条):従業員の「事業の執行について」の行為が対象。選任監督に過失なしは実務上認められにくい
- 共同不法行為(719条):数人が共同→連帯責任(各自が全額賠償義務)
- 工作物責任(717条):所有者は無過失責任(過失がなくても責任あり)
- 過失相殺(722条):被害者にも過失があれば損害賠償額を減額できる









